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左翼的思考を支える直感(3)

 左翼的思考を支える直感としてもう一つ挙げたいのは、マルクスの疎外論の鋭さだ。ただし、ここで言う「疎外」は日常的な用語としての「疎外」とはちょっと意味が違う。日常的な意味での「疎外」はのけ者にされているという意味合いだから、例えば「職場で疎外感を感じている」と言えば、自分が職場の仲間の輪の中に加われずにのけ者にされているようなイメージだろう。マルクスが使っている「疎外」はこれとは違って、人間が生み...

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左翼的思考を支える直感(2)

 左翼的思考を支える直感として他に挙げたいものとしては、近代経済学(マルクス主義経済学の立場に立たない、普通の経済学のことをこのように呼ぶことがある)が持ち出す「均衡」という考え方が欺瞞にあふれたものに思われることだ。需要と供給のバランスによって均衡点が生まれ、自動的に最適な状態が形成される仕組みが資本主義には備わっているというあの考え方だ。 この考え方にはいろんなツッコミが入れられるが、最も簡単...

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左翼的思考を支える直感(1)

 かつて自分が左翼的思考に染まった経緯を振り返ってみると、いくつかの直感が関与していたように思う。これらはあくまでも私個人の直感なので、左翼的思考を持つ人たち一般に共通するかどうかは即断できないが、おそらく似たような感覚は持っているのではないかと思う。 まずは、「私的な利益よりも公的な利益を目指すべきだ」との思いだ。私的な利益と公的な利益は実際矛盾することが多いし、公益性よりも私的な利益を優先して...

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近衛文麿と昭和研究会

 尾崎秀実はレーニンの敗戦革命論に基づいた戦略に日本を誘導するのに大きな役割を果たしたわけだが、近衛文麿はそうした尾崎の本来の素性に気づかぬまま、中国専門家として尾崎をたまたま重用したのだろうか。どうもそうではないようだ。 近衛は京都帝国大学の出身だが、一高生の時にすでに高名なマルクス経済学者として知られていた河上肇京大教授に憧れていて、京大進学を望んでいた形跡がある。実際に近衛は京大で河上教授の...

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スパイ尾崎秀実

 戦前の有名なスパイ事件にゾルゲ事件というものがある。ゾルゲはソビエト・ロシアのスパイのドイツ人だった。ナチス・ドイツの党員でもあり、ドイツの有力新聞である『フランクフルター・ツァイトゥング』の東京特派員でもあった。大変な日本通で、日本の伝統や文化の造詣も深く、日本の様々な問題についても洞察に富んだ評論を日本語でも数多く発表し、当代きっての日本通の外国人として知られていた。駐日ドイツ特命全権大使の...

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朝香豊AY

Author:朝香豊AY
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