記事一覧

日銀法を改正しよう!


社会・経済(全般) ブログランキングへ

 今回は日銀法の改正について考えてみましょう。

 日銀法の改正が必要だという話が出てくると、日銀法を改正して日銀の独立性を奪うのは問題だという反論が出てきます。日銀法の改正が必要だと思っている人にしても、日銀の独立性を認めていないわけではないのですが、このあたりは確かにわかりにくいところです。そこでまず、求められる日銀の独立性とはどういうものなのかについて、まずは考えてみましょう。

 日銀の独立性が必要だというのは、日銀が政府の言いなりになってしまうと、金融調節が無原則になってインフレが亢進してしまう恐れがあるためです。例えば、政府が政府財政を全額国債発行で賄い、その国債を全部有無をいわさず日銀に買わせていくということをやったとしましょう。こんなことをやれば、多額の資金供給が確実に行われていくわけですから、見過ごせないレベルにまでインフレが悪化することも当然ありえます。こういう点を考えると、政府が無理難題を言ってきた時に、日銀の側で拒否できることは大切です。政府が何を言ってきても、悪性のインフレを起こさせないために、政府の言うことを拒否できる力を日銀が持つことはあってしかるべきでしょう。こういう意味においての日銀の独立性は当然なくてはならないものです。

 しかしながら、デフレ不況が問題とされ、デフレ脱却のために強力な金融緩和を政治の側から求めても、日銀の方から「我々は政府から独立した機関であるから、政府の言うことを聞く必要はない」と言って拒否するということがあるとしたら、どうでしょうか。これも好ましくないのは言うまでもありません。

 経済状況をどうするかという点に関して、目標を決めるのは政府の側の仕事です。例えば、「名目経済成長率は4%を目指しつつ、物価上昇率2%までに抑え、実質経済成長率は2%を達成しよう。こうなれば、完全失業率は3%程度まで下がるはずだ」といった目標を決めるのは、政府の側の仕事です。これに向かって政府は財政政策などを実行していきます。しかしながら、こうした目標を達成するためには、財政政策のみならず金融政策も有効に働くことが不可欠です。この時に、政府の経済目標に背を向けるような対応を日銀が行うとしたら、それは問題だということになるでしょう。政府が経済に関して決めた目標については、いくら日銀が政府から独立しているといっても、政府に協力する立場にあるはずです。

 もちろん、政府が描く目標は、実行可能とはいえない現実離れしたものであるかもしれません。ですから、政府が最終的に目標を定めるとしても、実際には政府が日銀と協議した上で、最終的な目標をどうするのかについては、双方の合意の上で確定するということになるかと思います。これが自民党の安倍総裁がよく口にする「政府と日銀のアコード」というものです。

 そしてこのアコードによって確立した数値目標に経済が全体として動いていくように、日銀は使える政策手段をあれこれ考えて実行していきます。この時にどんな手段をどのタイミングで使うかは、日銀自身が考えればよいことで、政府の口出しを必要とするところではありません。

 FRB(アメリカの中央銀行)のバーナンキ議長が、以上の話を実に簡潔に述べてくれています。
    リンク先はバーナンキ議長の2010年5月25日の日銀講演

 A broad consensus has emerged among policymakers, academics, and other informed observers around the world that the goals of monetary policy should be established by the political authorities, but that the conduct of monetary policy in pursuit of those goals should be free from political control. (金融政策の目標点は政治の側で決められるべきであるが、そうした目標点に向かうのに用いる金融政策については、政治の側の影響力は排除されるべきであるという幅広い合意が、政策立案者・学者などの事情通の間では、世界中ででき上がっている。)

 物価上昇率・経済成長率・失業率などがどのくらいになるように目指すかは政治の側で決めるべきですが、その目標を達成するためにどんな金融手法を具体的に用いるかには、政治は口出ししてはならないというのは世界の常識ですよね、ということを言っているわけです。

 つまり、バーナンキ議長によれば、中央銀行の独立性というのは、あくまで「手段の独立性」のことだけであって、「目標の独立性」までは認められていないわけです。

 ところが、現行の日銀法では、日銀の独立性は「手段の独立性」だけなのだということが、明確にされていません。日銀法は第2条に次のような規定があります。

「日本銀行は、通貨及び金融の調節を行うに当たっては、物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資することをもって、その理念とする。」

 「インフレが進んでいる」という批判を受けないで済むようにしていれば、「物価は安定している」といえますから、現行の日銀法のもとでは、デフレ状況を放置しているとしても、日銀は非難されることはないということになります。この点で日銀は、現行の日銀法のもとでは、大胆な金融緩和には慎重になり、インフレに対して無難な対応をしていこうとうする傾向になりがちだということになります。

 また、罷免という問題でも、日銀総裁は特殊な地位にあります。

 総理大臣がとんでもないことをすれば、国会議員は内閣不信任案を可決することで、総理大臣をやめさせることができますね。ところが、日銀総裁は、いったん総裁になると、任期の5年間はやめなくてもよいのです。どんな失敗をしたところで、やめさせることができません。

 日銀総裁が実際にとる金融政策の手段は、政府から独立して自由に選ぶことができるとしても、アコードで決められた目標に近づけられないのであれば、途中でやめて頂くことも、本来は必要になるはずです。こうした規定が日銀法にはないという点からも、日銀法は改正すべきではないかと思います。

 以下の2つのポイントを確認したいと思います。

 1)日銀の独立性には「目標の独立性」は含まれず、あくまで「手段の独立性」だけであるべきなのに、現行の日銀法にはこのことが明確にされていない

 2)政府と合意した目標に近づけることができないならば、日銀総裁は解任されても仕方がない

 こうした点を考えた時に、日銀法は改正した法がよいのではないでしょうか。ご賛同頂ける方は、クリックをお願い致します。


社会・経済(全般) ブログランキングへ
 
スポンサーサイト

コメント

1. コメントありがとうございます!

日銀総裁、頑なですよね。
どうしてここまで?と思ってしまう。
若い人の働く場が、尋常じゃないくらい減っているのは事実です。
うちの子供たち心配です。
高みの見物で、対策しないのはその座にいるべきではないと思います。
やはり、国全体の事を考える事の出来る人でなければならないと思います。
朝香豊さんのおっしゃる通りと思います。

2. Re:コメントありがとうございます!

>syo-tenさん
この日銀法の改正の記事、わかりにくかったと思いますが、よく読んでくれました。ありがとうございました。今後書き直します。
私は個人的には白川さんはそれなりにやってくれているとは思っています。日銀当座預金は今は40兆円くらいあるのですが、これはいつでも貸し出しに回せるお金です。つまり実は「金余り」が生じているわけです。金融政策だけでは難しくなっており、財政政策が同時に発動しないと効果が出てこないということだと思います。今の日銀の高い独立性を低めてもよいという発言は、日銀総裁の立場からは言えるわけがないということもあるんじゃないですかね。

3. Re:Re:コメントありがとうございます!

>朝香豊さんへ
なるほどねー
という事はですよ、政権が変われば白川さんも変わるかもしれない。
という事もあり得るわけかー
凄く分かりやすいです。
ありがとうございました(*^.^*)

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

朝香豊AY

Author:朝香豊AY
FC2ブログへようこそ!