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グローバル化の危険性に気がつこう!


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 戦前の日本経済を考えてみましょう。

 まずはひとつ問題を出してみます。戦前の日本経済は、現在と比べて貿易依存度は高かったと思いますか、それとも低かったと思いますか?

 戦前だと今とは違って海外に自由に行ける時代ではなかったでしょうから、物資についてもそれほど海外とやりとりしていたわけではないのではないかと、一般には思いがちだと思います。ところが実際には貿易依存度は現在よりもずっと高かったのです。貿易依存度は現在の2倍以上で、輸出も輸入も30%程度ありました。ちなみに、当時は台湾や朝鮮半島との物資のやりとりは国内での物資の移動として扱われており、貿易とは考えられていませんでしたので、朝鮮半島や台湾とのやりとりまで含めると、さらに貿易依存度は高かったと考えた方がよいのです。「グローバル経済」というと、ずいぶん新しいことのように思えるのですが、戦前の日本経済の方が今よりもはるかにグローバル化した経済だった、というわけです。

 では、大恐慌が発生する前の、日本の輸出品の一番の主力商品は何だったと思いますか。実は生糸・絹織物です。何と輸出の4割以上を占めていました。日本の貧しい農家は、狭い耕作地で耕す農作物だけでは苦しい生活を強いられていたため、養蚕を行い、高級な織物の原料となる生糸を作り出すことで、生活の糧を保っていたわけです。当時バブリーだったアメリカが生糸や絹織物を大量に購入してくれたお陰で、日本の農家はずいぶんと助けられていました。

 ところが、1929年のウォール街での株価の大暴落をきっかけとする大恐慌の発生によって、1930年代に入ってから、高級品である生糸・絹織物はパタリと売れなくなりました。当然貧しい日本の農家は非常な苦境に陥り、ご飯の食べられない「欠食児童」が社会問題化するところまで行きました。こういったことはご存知の方も多いかと思います。そしてこうした農村の疲弊が、農村出身の青年将校たちに「このままの日本ではいけない」という危機感を植え付け、5.15事件や2.26事件の原因にもなり、軍部が台頭する力となりました。

 さて、何気なく戦前の経済と歴史を辿ってきたわけですが、私たちがここから得られる教訓とは何でしょうか。「グローバル経済化することで、商売を通じて世界がつながり、平和になる」という話がしたり顔で語られることがありますが、それは実際の歴史とは合っていないのです。グローバル経済化していたために、海外で生じた危機が国内に伝播してしまい、それが体制の動揺にもつながったというのが、戦前の我が国の経験です。グローバル経済化していなければ、海外で危機が生じても国内に伝播してくることはないのですが、グローバル経済化していると、その影響をもろに受け、政治的危機につながっていく可能性もあるわけです。

 現在でも、サブプライムローンの破綻⇨リーマンショック⇨ユーロ危機⇨中国のバブル崩壊のように、グローバル化した世界の中で、危機の連鎖が起こっています。この危機の連鎖に飲み込まれにくい経済をどう作っていくのかが、問われていると考えます。

 自由貿易を単純に礼賛する考え方が現在広がっていますが、こうした傾向はむしろ危険です。もちろん貿易による利益を否定するのはおかしいですし、鎖国が一番いいわけでもありません。しかし、国家が生き延びていくための適度な開放度というものがあるはずで、開放的であればあるほどいいといえるほど単純なものではないのです。

 自由貿易を単純に礼賛するわけにはいかないという意見が理解できたという方は、クリックをお願い致します。


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