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財政政策の効果は大きい!


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 「財政政策によって財政を拡大しても、実は効果はあまりないということが、経済学によって明らかにされている」なんて話が、経済評論家の方などから、時々聞かれることがあります。こうした見解を支持する立場からすると、国土強靭化とか防災・減災を目的として、公共事業をバンバン行うなんて、もってのほかということになります。そんなことをしても財政赤字を拡大させるだけで意味がないというのです。これは本当でしょうか。

 「財政政策には大した効果がない」という上記の見解は、「マンデル=フレミングモデル」というマクロ経済学上の仮説に基づくものです。これ自体が現実の経済にあまり適合していないのですが、一応理論の概略を見ていきましょう。やや乱暴であることは承知の上で、IS-LM分析といった本格的な話は抜きにして、非常に簡単に言えば、以下のような感じだと思って下さい。

1)財政政策を発動して財政を拡大させると、資金需要が高くなる。
2)資金需要が高くなると、資金供給よりも資金需要の方が強くなるため、金利が上昇傾向に入る。
3)金利が上昇傾向に入ると、それにつられて外国から資金が集まることになり、通貨高が発生する。
4)通貨高によって、輸出が減り、輸入が増える。
5)輸出減少も輸入増加もGDPを減少させる力を持つ。
6)GDPを増やそうと思って財政政策を発動したはずなのに、GDPを減らす作用によって、その効果は相殺される。
7)したがって、景気対策として財政政策はあまり有効な手段とはなりえない。

 こう言われるともっとものような気がしてくるかもしれませんが、この理論は現実の経済の動きを的確に説明できているものではありません。「机上の空論」と言ってもよいものです。

 そのような決めつけを言うと反発を感じる方も多いかと思いますが、「論より証拠」でIMFが出している "World Economic Outlook Database April 2012" に基づいて作られた、2007年から2011年にかけての、世界182カ国の政府総支出の変化と平均名目成長率の変化のグラフをご覧ください。世界182カ国ですから、世界中の国でえり好みをしないで全部のデータをグラフ化したものです。これを見ると、政府総支出(国家財政支出)が年々増えている国ほど高い経済成長率をおさめており、そこにはほとんど正比例と言ってもよい関係が成立していることがわかります。




 GDP = 民間消費 + 民間投資 + 政府支出 + 純輸出  という図式で表されるものですから、「政府支出」が伸びればGDPが伸びていくのは当然だともいえます。

 そしてこのほぼ正比例の関係が成立していることを前提とした場合に、日本のGDPが全然伸びてこなかった理由もここから説明がつくことになります。すなわち、緊縮財政に走って政府支出の伸びを抑制してきたから、GDPも伸びなかったわけです。

 ブログ「ひろのひとりごと」には、2000年から2010年までの政府支出増加率ランキングが掲載されています。一覧表をきれいに転載できないのが残念ですが、ひろさんのブログに掲載された一覧表を見れば、実は世界183カ国の中で、日本は政府支出増加率ランキングでぶっちぎりの最下位であることがわかります。(10年間平均で0.09%)

ブログ「ひろのひとりごと」ー経済成長を否定する国に未来はないー

 つまり、日本は世界でこれ以上ないレベルの緊縮財政国家であり、そのためにGDPの成長が抑えられてきたわけです。そしてGDPの成長が抑えられてきたために、企業は設備投資を抑制しました。低迷する経済に国民は将来への不安を高め、消費を抑えて貯蓄に励むようになりました。

 100万円借りる人がいれば、その100万円を貸し出す人がいるはずで、社会全体では貸し借りのトータルはゼロになります。「国民」「企業」「政府」の3者の関係で見ても同じことがいえ、(外国との関係を無視すれば、)3者をトータルでみれば貸し借りはゼロになります。

 国民が貯蓄を増やしていき、企業が借り入れを抑制していけば、政府の赤字が拡大しないと、全体のバランスがとれません。とすれば、日本の政府が世界にまれに見る借金財政になっているというのは、実は日本の政府が緊縮財政を採用してきた結果であるという、実に皮肉な結論が導かれるわけです。

「国土強靭化」であれ、「防災・減災」であれ、「研究開発立国」であれ、何でもよいのですが、将来に向けての政府の投資をどんどんと増やしていけば、それはそのままGDPの成長に繋がっていきます。「公共投資は悪」という誤った固定観念から抜け出し、今こそ力強い成長を取り戻すべきだという意見にご賛同いただける方は、クリックをお願い致します。


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