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NHKスペシャル「日本国債」は、大きな誤解に基づいて作られたものだ!(5)


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 引き続き、NHKスペシャル「日本国債」の話を続けます。

 まず前回の復習を簡単にしてみましょう。

 貸し手が貸している金額と、借り手が借りている金額は必ず同一になるはずです。したがって、世の中に「国民」と「企業」と「政府」の三者しか存在しないとしたときに、「国民」が貯蓄をしても、「企業」がこれを借り入れて設備投資をしようということを全くしなかったとすれば、「国民」の貯蓄分にちょうど見合う金額を、「政府」が必然的に負債として背負わなければならなくなるということがいえました。したがって、「政府」の赤字は「政府」が無駄遣いをしているかどうかとは必ずしも関係しませんでした。デフレ不況が深刻化すると、「国民」は先行き不安から貯蓄に走ろうとする傾向が強まります。「企業」は規模を拡大しても売り上げが伸びないことから設備投資を控えるようになります。こうなると「企業」は借り入れをしなくなるどころか、従来の借金さえもさらに圧縮しようとします。「国民」が貯蓄に走ろうとし、「企業」が借金を圧縮しようとすれば、それだけ「政府」の借金は必然的に大きくならざるをえません。この状況で政府が財政赤字を気にして歳出の切り詰めを行うと、さらに総需要は圧縮され、デフレ不況が深刻化するということがいえました。

 そうすると、ここから興味深い推論が成立します。デフレ不況下で政府が財政赤字を気にして緊縮財政に走ろうとすると、却ってデフレ不況を深刻化することになって、政府財政は却って悪化するということが生じるかもしれないということです。

 この推論が日本の場合に成立しているかどうかを、実際に見てみましょう。

 日本の公的債務のGDPに対する比率は、確かに世界最悪です。2012年レベルで他の先進国がおおむねGDP比100%程度であるのに対して、日本は200%を超していますから、ざっと2倍の水準です。



 しかしながら、2000年から2010年までの期間で、政府支出増加率が世界183ヶ国中最も小さい国も日本です。つまり、世界で最も緊縮財政を貫いてきた国が日本なのです。



 世界で最も緊縮財政を貫いてきたのに、世界で最も財政状況が悪いというのは、なかなか信じがたいところだと思いますが、データの上でははっきりと出ています。「そんなわけはない。公務員だってまだまだ多いじゃないか!」といった意見をお持ちの方もいるかもしれませんが、実は公務員の人件費の対GDP比にしても、実際にはOECD諸国の中でも最低なのです。



 データに従って事実を見ていけば、「構造改革だ!」「歳出削減だ!」「もっと無駄を削れ!」とやり続けてきたことが、デフレを深刻化し、政府財政の赤字をさらに深刻化させてきたことがわかります。だとすれば、政府財政を改善させるためにも、むしろ積極財政を採用すべきだということにはならないでしょうか。

 財政状況を改善するためにさらに緊縮財政に走るというのは間違っているんじゃないかということがご理解いただけましたら、クリックをお願い致します。


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コメント

1. こんばんは!

面白いですね。
公的債務のGDP比200%って凄いですね。
だけど、緊縮財政を貫いたというのも凄いです。


事業仕分けの「1番じゃなきゃダメなんですか?」が1番じゃなきゃダメだったんですよ。
あのテレビでの放送に違和感を感じてました。

2. Re:こんばんは!

>syo-tenさん
アメリカのスーパーコンピュータの開発予算は年間3000億円くらいあるのに、日本はスーパーコンピュータ京の成功にも関わらず、227億円にまで予算を圧縮させられました。こんなバカげたことをやっているために、日立もNECもスパコン開発から撤退せざるをえなくなり、何とか富士通のみが踏ん張っている状況です。誰のための事業仕分けだったのか、私たちはよく考える必要がありますね。

3. Re:こんばんは!

>syo-tenさん

何故一番が必要か..その程度の理由を何故説明出来ないのか...。自分たちが行う研究なり成果の経済的な意味づけを出来ないのか..全く悔しい限りです。研究者は研究だけしていればお飯が食べられる..と言う組織人のあさはかさ..言えばチョッときつ過ぎますが。
 でも、自分のやる事の意義を説明できない研究者とは情けない..です。

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