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NHKスペシャル「日本国債」は、大きな誤解に基づいて作られたものだ!(6)


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 引き続き、NHKスペシャル「日本国債」の話を続けます。

 番組では「日本国債を投機の対象にしようという人たちが現れています。国債の価格の急落によって巨額の利益をもくろむヘッジファンドです」とのナレーションが入り、ヘイマンキャピタルというヘッジファンドの代表のカイル・バス氏が登場します。バス氏については「アメリカの住宅バブルの崩壊やギリシャ危機を予測し、利益を挙げ」「リーマンショックの原因を究明するアメリカの公聴会においても意見を求められ」たとの紹介があり、凄腕の印象を与えています。そして、バス氏の意見に同調したのがシカゴ商品取引所のトレス・クニッパ氏です。クニッパ氏についても、敏腕トレーダーとして知られているとのナレーションが入り、やはり相場の動きに長けた大物であることが印象づけられています。日本国債の金利が1.8%を超えて上がれば利益が出始め、3%に達すると巨額の利益が転がり込む相場を張っているそうです。

 さて、日本国債はバス氏やクニッパ氏の思惑通り急落しそうな状況にあるのでしょうか。それともそんなことはないのでしょうか。この点を今回は日銀当座預金というものから考えてみましょう。

 日銀当座預金というのは、聞き慣れない名前かもしれません。私たちが日銀に口座を持つことはないのですから、知らなくても当然だと思います。銀行などの金融機関が日銀に対して持っている当座預金口座のことです。銀行が貸し出しなどにも回せず、国債などの購入にも充てられないために、日銀に預けているお金だと考えて下さい。本来は金利ゼロのはずなのですが、現在は0.1%の金利をつけています。なぜ0.1%の金利を付けているかといえば、そうでもしないと保有する国債などを金融機関が日銀に売ってくれないためです。

 金融機関は国債を保有していれば、わずかながらでも金利がつきますが、国債を売ってお金に換えてしまうと、利息を稼ぐことができなくなってしまいます。貸出先があれば貸出に回せばよいのですが、貸出先が見つからなければ、お金だけ持っていても金利が付かないので、金融機関は困ります。金融機関が保有する国債などを日銀に売ってくれなければ、日銀が金融緩和を進めようとしても、思ったように進めることができません。そのため、金融機関が日銀に国債を売って現金に切り替えても運用に困らないように、金融機関がそのお金を日銀当座預金に預ければ、0.1%の金利がつくようにしたのです。

 この日銀当座預金はいわば完全に余ったお金だと考えてもよいのですが、これの残高が現在40兆円程あります。



 そしてこのお金はいつでも企業向けの貸し出しにも国債の購入にも充てることができるお金です。このようにいつでも国債の購入に回っていけるお金が、現在でもすでに40兆円もあるのです。期間が短い国債を手に入れて、年利0.1%を上回る金利が得られるのであれば、このお金は当然そちらの方に乗り換えていくことになります。ちょっとでも金利がよくなれば国債を購入しようと手ぐすね引いて待っているお金が40兆円もある状態で、金利がそう簡単に上昇するとは考えにくい話です。

 なお、2013年1月7日現在の1年もの国債の利回りは0.1%で、日銀当座預金の金利と完全に一致しています。ちなみに、2年もの国債の利回りも0.1%、3年もの国債の利回りも0.1%で、期間3年以下の国債の金利はすべて日銀当座預金の金利と完全に一致しています。3年以内の国債に関しては、これよりも利回りが上がれば、日銀当座預金から即座にお金が引き出されてすぐさま購入されてしまう状況になっているということが、ここからもはっきりわかると思います。

 こんな状態にありながら、日銀は政府との協調によって、さらに金融緩和を押し進める方向に足を踏み出したことは、皆さんもご存知でしょう。日銀がこれまで購入してきたのは主として短期国債でしたが、今後は長期国債の購入枠が大きくなるはずです。国債の購入が強くなれば、国債の価格は上昇し、金利は当然下がるはずです。つまり、今後は長期金利においても、低下する傾向がみられると考える方がむしろ自然ではないかと思います。クニッパ氏の思惑では、10年国債の利回りが現在の年利0.8%程度から最低でも1.8%を越える水準まで上がってもらわなければならなかったはずですが、この見込みはかなり希望薄だとはいえないでしょうか。

 もちろん、円安が極端に進んで、輸入品の価格が上昇し、物価が上がっていくということが起こる可能性もないわけではありません。また、建設国債を大量発行した際に、これを日銀がどのように扱っていくのかについても、現段階ではまだ見通せない状態です。それでも日銀の金融緩和姿勢が本物だとすれば、大幅な金利上昇は考えにくいのが実際のところです。

 日銀当座預金の膨大な残高が、国債金利の上昇を阻む役割を果たしていることが理解できましたら、クリックをお願いいたします。


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 次回も日本国債の今後の安定性について考えます。
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