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NHKスペシャル「日本国債」は、大きな誤解に基づいて作られたものだ!(7)


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 今回は、NHKスペシャル「日本国債」についての第7回目です。

 番組の中で次のようなナレーションが流れていたところがあります。

 「国債は国内の金融機関と日銀が、あわせて75%を保有しています。このうち金融機関の元手となっているのは、企業や私たち家計のお金。それらが潤沢にあるため、今は買い支えることができています。しかし幸田さんは、将来企業の蓄えが減ると、そのバランスが崩れかねないとみています。そして高齢化が進んでいけば、私たち家計も国債を買い支えていく力が弱まっていくといいます。」

 今回はこの部分について、考えてみましょう。

 第4回の時と第5回目の時に、貸し手が貸している金額と、借り手が借りている金額は必ず同一になることを書きました。そして、世の中に「国民」と「企業」と「政府」の三者しか存在しないとした場合に、この中のどれかが貸し手となり、この中のどれかが借り手となっているわけですが、貸し手が貸している金額と借り手が借りている金額は一致するはずだということを書きました。

 話を簡単にするために、「国民」と「企業」をひとまとめにして「民間」としてみましょう。そうすると、現在は「民間」が貯蓄を行っていて、「政府」がその分を借り入れしている状況だと考えればよいということになるはずです。そして、もし今後「民間」が、これ以上貯蓄を貯めることができず、むしろ今までの貯蓄を削らなければならなくなっているとすれば、それに合わせて「政府」の借り入れの金額も減っていかざるをえないことになります。貸し手が貸している金額と、借り手が借りている金額は必ず同一になるという原則は、どうしたって崩れることはないからです。

 ということは、「民間」が貯蓄できなくなっていけば、「政府」は必然的に負債がどんどん減っていくしかないわけですから、国債の破綻を心配する必要性はありませんね。

 「えっ?それはおかしくないか?だったらどうしてギリシャは破綻したんだ?」と思われた方もいるかもしれません。この疑問は、国家の財政破綻を考えるにあたって、最も重要なところとつながっている、非常に大切なところになります。その答は、世の中に「民間」(「国民」+「企業」)と「政府」以外にも、お金の貸し借りにはもう一つ関わってくる存在があるからです。それは「外国」です。ここでいう「外国」は、外国政府だけを意味するわけではなく、外国人や外国企業も全て含めた外国勢力全体のことを言っていると考えて下さい。「外国」からお金をたくさん借りているということは、国内で「政府」を支えていく力がなくなっているということですから、ちょっとしたきっかけで破綻に結びつくことが起きてしまうわけです。ギリシャはまさにそのような例だと考えればよいでしょう。

 ところで日本は外国からお金を借りている国でしょうか、それとも外国にお金を貸している国でしょうか。もちろん、借りているお金もありますし、貸しているお金もあるわけですが、これらを足し引きしたら全体としてはどうなっているでしょうか。皆さんもよくご存知だと思いますが、大幅に貸している金額が多い国です。借りているお金より貸しているお金の方が多い場合に、その多い分のことを「対外純資産」と呼んでいますが、この「対外純資産」の推移を以下に書いてみました。

 1986年  29兆円
 1991年  47兆円
 1996年 103兆円
 2001年 179兆円
 2006年 215兆円
 2011年 253兆円


 日本の対外純資産がどんどん拡大してきているのがわかりますね。そして現在日本の対外純資産は世界でダントツで第1位になっているわけです。



 ということは、国内の債務を国内だけで支えていく余裕が世界で最もあるのが日本であり、その余裕は年々どんどんと拡大しているのが実際だと言っても過言ではないわけです。従って、国債を国内だけで支えていく力も、世界中で日本が最も高いともいえるわけです。さらに言えば、日本の国内で、何か危機的なことが起こったとしても、対外純資産の一部を国内に戻しさえすれば、それだけで十分解決がつけられる状態にさえあります。(第2回でも取り上げましたが、東日本大震災の時には、対外純資産を国内に戻すのではないかとの思惑が働いたために、あれほど大きな国難の中でかえって急激な円高にさえなりました。)

 日本国債が破綻の淵に来ているというのは心配のしすぎだと思われた方は、クリックをお願いいたします。


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コメント

1. お疲れ様です

「対外純資産」の推移を表したグラフが、モバイルだと見えない様です。
しかし、アメリカと日本真逆過ぎですね!
アメリカは、危ないのでしょうか?

2. Re:お疲れ様です

>syo-tenさん
グラフが見られないという指摘、ありがとうございました。さっそく書き換えてみました。
アメリカは米ドルが基軸通貨である限りは問題なしです。ただ、基軸通貨からの転落が怖いので、石油代金の取引からドルを排除したイラクに攻め込み、フセインを殺害したのでしょう。イランも同様に狙われていると考えると、辻褄が合うのではないかと思います。

3. Re:Re:お疲れ様です

>朝香豊さんへ
ありがとうございました。
なるほど、そういう事でしたか。
何も知らずに恥ずかしいです(。>д<)

4. Re:Re:Re:お疲れ様です

>syo-tenさん
ドルを基軸通貨として維持するのは、アメリカにとって死活問題で、米ドルに対する信任を高める目的で、金本位制への回帰すら検討されているようです。

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