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著作権の濫用を許すな!


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 私は1月24日に、「遺族の思いを無視した、「犠牲者」の実名報道を許すな!」という記事を書きました。そこで遺族の思いを無視し、了解をとることもないまま、亡くなられた方々の実名の報道に踏み切った「報道ステーション」を、強く批判しました。

 そして、その記事を書くにあたって、YouTube上で見つけた「報道ステーション」の番組の動画を貼付けました。なぜ実名報道することにしたのかを、キャスターの古館氏が説明するシーンを切り出した動画で、番組全体からみればごくわずかな長さのものでした。

 ところが、この動画が早々と削除されました。この動画を再生しようとすると、次のコメントが表示されます。

 "1.23報ステ「日揮と政府が遺族のため公表を差し控えた…" この動画は、放送コンテンツ適正流通推進連絡会さんによる著作権侵害の申し立てにより削除されました。



 この動画のアップが著作権の侵害にあたるというのです。

 日本の著作権法を見てみましょう。まずは著作権法の目的を定めた第一条です。

 この法律は、著作物並びに実演、レコード、放送及び有線放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。

 この規定に基づけば、著作者等の権利はもちろん大切にするけれども、これを絶対的なものとは考えていないことがわかります。著作物という文化的所産が公正に利用できるようにすることを通じて、文化の発展に寄与するようにするというのが、著作権法の目的だというわけです。文化の発展に寄与するのか、それを妨げる働きをするのかということが、著作権を取り扱う上でのポイントになるというわけです。

 そして、この目的の意義を具体的に示した条文があります。第三十二条です。

 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

 当該動画は、「報道ステーション」が実名報道に至った理由が適正であるかどうかを検証しようという目的で引用されたことは明らかです。いかに乱暴な理由付けが行われて実名報道に至ったのかを、広く社会に報道し、批判を行う目的だったといってよいでしょう。つまり、「報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれ」ているものです。そしてこのような目的で行ったことが明らかな引用が公正さを害していると考える人はまずいないはずです。世の中に住む人全員とは言いませんが、大半の人々には支持されるはずです。つまり「公正な慣行に合致するもの」ともいえるはずです。こうして見た場合に、いかなる意味において著作権法の侵害にあたるのか、全く理解できません。

 さて、今回の著作権侵害の申し立てを行った「放送コンテンツ適正流通推進連絡会」のウェブページを覗いてみました。ここには「テレビ番組の著作権とは?」というページが作られていて、そこには「著作権はなぜあるの?」というコーナーが用意されています。ここには以下の説明が書かれています。

 自分が書いた作品(作文・絵など)が勝手に他の人の名前で公表されたらどう思いますか? 嫌だと思いますよね。
アイドル歌手のCDを、皆がダビングして誰も買わなくなったらどうなりますか? CDが売れなくなって、音楽を作った人たちが困ってしまいますね。
テレビ番組を勝手に利用されてしまったら、テレビ局は収益を得る機会を失い、結果として、魅力ある番組を作って放送できなくなりますよね。
このように、作品を作った人の気持ちや財産を守るために著作権があるのです。


 上記の文章は、どういう意味において著作権が大切なのかを、誰に対してもわかりやすく説明したものだと思います。

 では、今回のこの動画は、この説明が解説する著作権侵害に当たるものでしょうか。

 テレビ朝日の報道ステーションが制作した番組を、別の人物が「俺が作ったんだ!」と詐称したものでは当然ありません。誰が見たところで、テレビ朝日の番組であることを疑うことはありません。従って、自分が書いた作品を勝手に他の人の名前で公表したものではありません。

 では、テレビ番組を勝手に利用されてしまったことから、テレビ局は収益を得る機会を失うことになったといえるかどうか、考えてみましょう。確かに、この引用を見ることで、報道ステーションに対して嫌悪感を持ち、この番組を見なくなる人もいるかもしれませんが、それは番組そのものを見た時とも相違するものではありませんね。つまり番組を見なくなる人が出たとしても、それは著作権侵害によるものではありません。

 著作権法の目的に沿ったこのような引用が、「著作権」の名の下に当たり前のように削除されることに、強い憤りを覚えます。

 報道機関はその報道の真偽や報道姿勢について、絶えず監視と批判に晒されるべき存在です。そのような緊張感がある中でこそ、良質の番組が作られていきます。そしてそのような緊張感が存在することが、著作権法が目的として定める「文化の発展に寄与する」ものでもあります。歪んだ報道を行っても、姿勢を疑われる報道を行っても、世間の批判に晒されないポジションに立ちたいという願望を満たすために、「著作権」を盾にするのは、著作権法の趣旨から逸脱するものです。

 法の趣旨から逸脱した著作権の濫用は許せないと思われる方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。


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コメント

1. こんばんは!

結局、都合の悪いものは消すっていい加減な放送しかしないというのが良く解りますね!
都合が悪くて動画を消すようなら、最初からまともな放送をすれば、変な仕事が増えなくて良いと思いますけどねー。
悪い事をして必死になってる愚か者にしか見えませんね。

2. Re:こんばんは!

>syo-tenさん
そうですね。日本国民の健全な言論の育成に資するというのがマスコミの使命であると自覚するなら、姑息な真似はやめてもらいたいと思います。
マスコミ報道の是非を問うのに、実際どのような報道がなされたかの証拠が誰でも確認できる形で残ることは大切だとも思います。

3. お邪魔しました!

はじめまして!DAZU-Oって言います!またブログ読みに来ますね!また訪問させて頂きます!

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