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資材と人材の不足で復興ができないと、あの朝日新聞までが報道!


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 朝日新聞に、以下のような記事が掲載されました。

「被災地、生コン高騰 品薄、全国に拡大 最大43%上昇、復興遅れる恐れ」

 東日本大震災の被災地で復旧・復興工事に使う建設資材が足りなくなり、価格がはね上がっている。建物や道路をつくるのに必要な生コンクリートなどは、地域によって震災前より3~4割上がっている。被災地では建設作業員も足りなくなっており、資材高騰と人手不足が重なって、復興がさらに遅れるおそれがある。(以下略)

 記事のポイントは、復興を遅らせている原因が、①建設資材が足りないということと、②建設作業員が不足しているということの2点にあるということです。

 では、なぜ建設資材が足りなくなっており、建設作業員も不足しているのでしょうか。まずは以下のグラフ(2つあるうちの下の方)を見て下さい。




 黒の太線で結ばれているのが日本のセメント生産量の推移です。グラフには2009年までのデータしかありませんが、生産量のピークだった1996年と比べてみると4割以上減少していることがわかります。過剰設備を抱えていると、企業は生き残ることができませんから、セメント生産企業は生産設備を廃棄し、従業員の数も減らしてきたということが、容易に想像がつきます。

 生産設備が残っていれば、供給能力を拡大させることは難しいことではないのですが、生産設備がなくなってしまっていると、生産量を伸ばすのは容易ではありません。まず、新たな生産設備を建設し、稼働するようになるまで時間がかかります。さらに、現在の需要が一時的な復興需要でしかなく、長期的に安定した需要が見込める状態ではないと判断されれば、今後についても企業が設備投資に資金を投じることを期待するのは無理があります。

 こういう点で、既存のインフラのメンテナンスを行っていくだけだとしても、今後どのくらいのセメント需要が毎年見込めることになるのかについて、政府が明確にアナウンスすることが必要になります。さらに、防災・減災を強化するためにどのくらいの需要が見込まれることになるのかについても、明確に方針を打ち出していく必要があります。長期的な需要見通しを政府がアナウンスし、これに業界としても協力してもらいたいというメッセージまで明確にしないと、失われた供給能力を回復するのは非常に困難になります。

 建設作業員の不足も同様で、建設市場の縮小に伴って人材が失われ、また新規採用も抑制されていった結果でしょう。ただこちらも、建設業界全体の供給能力の減退が危機的な状態に至っていることについて政府がしっかりとアナウンスし、この業界を去っていった方々にも戻ってきてもらうように働き掛けることも必要かと思います。既に定年に達している60代や70代の元建築技術者の方々にも、働く意欲・体力が残っていらっしゃる場合には、協力してもらうよう働き掛けることも必要かもしれません。

 マスコミが先頭に立って「公共事業=悪」との刷り込みを行ってきた結果、既存のインフラのメンテナンスさえできないレベルにまで、公共事業費は削減されてきましたが、この状態を抜本的に改める必要があります。マスコミ報道の歪みには反吐が出る思いですが、過去にこだわっても未来は建設できません。現在の範囲内でできる最大限の方策を、ぜひ政府にはまとめて頂きたいと想っています。


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コメント

1. そうですよね

国会で先日、民主党の議員が生コンがどれくらい値上がりしているかご存知ですか?なんて質問してましたね~。
朝香豊さんのおっしゃる通り全国生コンクリート工業組合連合会とかいうのがありますから、国から打診するのも有りですよね。
雇用が増えますし。

2. Re:そうですよね

>syo-tenさん
すでに国家的な危機にあるわけですから、国家的な対応を考えるべきではないかと、個人的には思っています。供給能力を抜本的にアップさせておかないと、再び大震災があったりしたら、それこそ日本の終わりですから。

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