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ドラッカーが高評価した日本的経営を、安直に否定するな!


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 ピーター・ドラッカーという経営学者のことをご存知ですか。経営に対して、常に時代を先取りした見解を発表してきた方で、日本にも非常に多くのファンがいることで知られています。2~3年前に「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」なんて本がベストセラーになりましたが、この題名で使われている「ドラッカー」が、このピーター・ドラッカーのことです。



 実はドラッカーは日本の経営システムを非常に高く評価していました。ドラッカーはコンセンサスが社員の中で共有された後の実行の速さに着目し、稟議制度などの社員のコンセンサスを重視する日本の企業の仕組みを肯定的に考えました。

 またドラッカーは、終身雇用年功制度によって雇用が保証されていることによって、従業員の心理に安心感を与えるとともに、生涯訓練が可能となって生産性の向上が見込めることにも着目しました。

 さらにドラッカーは、日本の企業では雇用が大学の先輩・後輩のツテによってなされることが多いというところにも着目しました。このつながりがあることが、教育と人事考課を効率的に機能させることになると評価しました。さらに、長期的で多面的な能力の評価が可能となり、トップマネージメントを選抜するのにも有効だと言っています。

 さて、現在の日本では、こうしたドラッカーの評価と真逆ともいえそうな評価が、日本的経営に対してなされています。

 社員のコンセンサスを重視することは決定までに時間がかかると否定され、トップダウン式の経営ができる強いリーダーシップを持った社長が理想だとされる傾向が強まっています。

 危機感を植え付けないと社員は能力を発揮しないと考え、終身雇用を廃止するのは当然だと考えるのが当たり前になってきました。社員の能力が年功と一致するはずもないのだから、年功賃金は非合理であると考え、出来高や目標に対する達成度の客観的な計測が大切だとされるようになりました。

 公正な採用制度ではなく、真に能力のあるものを採用するという方針ではないから、雇用が大学の先輩・後輩のツテによってなされるのは不合理だと考える傾向も強まっています。そもそも学閥といったものが幅を利かせているなどということがあるとすれば、それはその会社の後進性を如実に語るものだと言われます。

 実は、こうした日本的経営に対する批判は1950年代あたりから広く行われてきたことですが、このような一見不合理に見える日本的経営の特徴が、逆に非常に大きな利点を生んでいることを、ドラッカーは深く洞察したわけです。そして、こうした日本的経営の基本的なあり方に、世界の経営が向かうべき真の姿をドラッカーは見たのでした。

 何でも市場に任せればうまく行くという発想を、ドラッカーは全く持ち合わせていませんでした。ドラッカーは経営学の神様のように言われますが、その根底には人間というものを冷静に深く観察する力があったように思います。危機に陥れば必死になるが、安心感を与えると怠けるといった、単純な性悪説で人間をとらえるようなことを、ドラッカーはしませんでした。人間にそうした側面も確かに一部にはあるわけですが、逆に安心感が与えられ、信頼される中で人間が力を伸ばすという特質も人間にはあるはずです。こういう点にも、ドラッカーは大いに着目していました。多面的な人間に対する深い観察の結果として、愛情の深さが人間を成長させることへの信頼を、ドラッカーは持つに至ったのです。

 ドラッカー並の深い人間観察に基づく知見は全く持ち合わせていないくせに、日本的経営を後進的なものだと単純にみなし、「抜本的な改革」を断行しなければ日本に未来はないなどというのは、あまりに浅はかだと私は思います。

 もしドラッカーの主張がまちがっており、日本的経営に対する昔ながらの批判の方が正しいというのであれば、ドラッカーの洞察のどこに至らない点があるのかについて、はっきりと批判をすべきではないでしょうか。そんなこともできないで、ドラッカーの主張と真逆のことを当たり前のことのように語るべきではないと、私は思っています。私の考えに同調して下さる方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。


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コメント

1. こんばんは

同意です。
昔の経営システムがあったからこそ今があるのにね。
いろいろ見直さなければならないでしょうね。
日本には日本人のやり方があるのですからね。

それとブログ祭参加ありがとうございます。
よろしくお願いします。

2. 同感です

危機感を植え付けないと社員は能力を発揮しないなんて考えは、悪循環だと思います。
こういう環境におかれた人間は、思考が狭まり豊かな発想なんてものは生まれませんね。
追い込まれれば、ズルをするようになったりそのズルを隠そうとして、土坪にハマってしまったりが関の山じゃないでしょうか。
負からは、負しか生まれない気がします。

ドラッカーさんの本、昔の上司の机によく置いてありました。

3. Re:こんばんは

>部長 ラス耕作(ブログ祭 3月7日~)さん
日本の特質や日本の優れたところは、素直に認めればよいのに、変ですよね。自虐は歴史だけでなく、全般に広がっているのが恐ろしく感じます。

4. Re:同感です

>syo-tenさん
「ドラッカーはすごい」なんて言いながら、ドラッカーが到達した人間観をこれっぽっちも理解していないというのは、悲しい話です。日本は世界に誇れるものをすでに築いているということに、日本人は気付くべきですよね。

5. Re:Re:同感です

>朝香豊さんへ
誇れる所は、たくさんあるはずだと思います。
日本人がそれを認めないところが悲しいですね。

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