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安倍政権は財政政策の重要性にもっと気付くべきだ!


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 アベノミクスの3本の矢の1つに財政政策があるはずですが、現在までのところを見る限りでは、どうもこの財政政策の重要性が軽視されているように私には感じられます。今回は財政・金融政策をめぐる思想史を簡単に振り返りながら、現在の状況を考えてみましょう。

 さて、資本主義においては、もともとは自由放任がよいとされ、経済に国家が介入するのは最小限にとどめるべきだという考え方だったというのは皆さんもよく理解されていると思います。これは市場の持つ調整機能に信頼を寄せていたためです。

 ところが、1930年代の世界的な大不況の中で、市場にすべてを任せておけばうまくいくという考え方が否定されるようになりました。経済を市場だけに任せていると、デフレスパイラルに陥った時に抜け出す術がなくなってしまうことになることを、認めざるをえなくなったからです。失業していてお金がないとか、いつ首を切られるかわからないという不安に曝されていれば、買いたいものがたくさんあっても、おちおち買うことはできませんね。こうした状態にあっては、人々のものを買いたいという需要は「潜在需要」の段階にとどまり、実際に購買に結びつく「有効需要」にはなりません。「有効需要」を創出してデフレギャップを解消するには、政府の財政出動が大切だと考えられるようになっていきました。日本における高橋財政やアメリカにおけるニューディール政策が、こうした考えに基づいて行われたのはよく知られていますね。

 こうして政府の財政政策の有効性が広く信じられるようになった一方で、これに対する異論もやがて登場するようになりました。この考えによると、大恐慌を深刻化させた要因は、有効需要の不足ではないのだというのです。市中の銀行に対して中央銀行が潤沢に資金を供給していればよかったのに、中央銀行がそうした役割をきちんと果たさなかったからだというのです。つまり、財政政策ではなく、金融政策の誤りが大恐慌を生んだのだと考えました。そしてこの考え方がだんだんと世の中の主流になるようになりました。

 こうした考え方が広まった背景は今回は省きますが、とにかく、財政政策の有効性が否定され、金融政策の有効性が肯定される方向に、世の中は動いていきました。このため、バブル崩壊後に日本経済がもたついているのを、欧米の経済学者たちは笑ってきました。もっと金融政策を有効に利用すればいいのに、それを日本はやらないから経済が回復しないんだと言っていたのです。

 ところが、リーマンショック後にどうなったか。バーナンキ議長のもとでFRB(「連邦準備制度理事会」という名のアメリカの中央銀行)は大胆な金融政策に打って出ました。確かに日本のバブル崩壊時の日銀の対応とは真逆といっていいくらいの対応で、初期対応としては大きな効果があったと思います。しかしながら、こうした大胆な金融政策を実施しても、実体経済の回復はなかなか果たせないままになってしまいました。金融政策をうまく動かしさえすれば経済の回復はできるはずだったのに、実際にはできない状況に落ち込んでしまったのです。

 こうした状況を前にして、ジョセフ・スティグリッツ教授は次のように言っています。

 「この危機が始まった時、全てのアメリカ人が『我々は日本の二の舞にはならない』と言っていた。…それで、我々はどうなったか。日本の二の舞になっている。」

 昨年(2012年)の秋に、雑誌「エコノミスト」には、次のような記述が載りました。

 「特定の病気に関する世界最高の専門家たちが、難治性の深刻な症例を研究するために会合を開いたと想像してみてほしい。彼らは互いに矛盾する診断と治療を行った。だが、彼らの心を絶えず苦しめているのは、ある当惑する事実だ。自分たちがやったことが何一つうまくいかず、なぜうまくいかないのか分からないのだ。この描写が、カンザスシティ連銀が主催し、世界中の中央銀行総裁やエコノミストが出席する、ワイオミング州ジャクソンホールで行われた年次経済シンポジウムでの雰囲気を要約している。」

 要するに、金融政策をうまく動かしさえすれば経済はうまく行くという考え方が、完全に行き詰まりを見せてしまったわけです。

 ダラス連銀のリチャード・フィッシャー総裁は次のように述べています。

 「FOMC(FRBの政策決定機関)の委員の誰も、本当の意味で、何が景気回復を阻んでいるのか分かっていない。経済を回復軌道に戻すうえで何が有効なのか誰も分かっていない。雇用を創出し、民間設備投資を拡大させて消費と最終需要を喚起してくれることを我々が期待している層は、理論が示すほどには我々(FRB)の政策に反応してくれていない。」

 つまり、金融政策を大胆に打ちさえすれば、景気は必ず順調に回復するとの考え方は、どうも違うんじゃないかということが明らかになってきたわけです。

 こうした状況に対応して、クルーグマンとかサマーズとかローマーといった一流の経済学者が金融政策至上主義を捨て去り、バブル崩壊後のデフレ不況の状況においては財政政策が重要になることを理解するようになってきたのです。

 ところが日本では、高橋洋一氏とか浜田宏一氏といった、金融政策に重点に置いた論客が未だに強く、総理の経済政策にも大きな影響を及ぼしているように思います。

 財政政策の重要性を総理があまり強く認識していないように思われるところに、私は幾分懸念を感じています。


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