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内閣府は現実の乗数に基づいてモデルを作れ!


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 島倉原(しまくらはじめ)氏が、非常に有益な資料をお作り下さっているので、今日はその資料を使いながら、財政政策の重要性を考えたいと思います。
島倉原氏のブログ

 まず、政府財政の伸びとGDPの伸びとの間には、どの程度の相関関係があるのかを島倉氏が調べたグラフをご覧下さい。(画像をクリックすると、拡大します。)
$岐路に立つ日本を考える-世界各国の財政の伸びとGDPの伸びの相関性

 このグラフは、世界の主要な35ヶ国について、名目の公的支出(財政支出)の伸びと名目の経済成長率の伸びとの長期に渡る相関関係を、島倉氏がまとめたものです。国別の統計でできるだけ長い期間わかるものをまとめたものだとお考え下さい。従って国ごとに統計を取っている年数に違いがありますが、平均すると23.5年という、かなり長期にわたる関係をまとめたものです。ところがこれほど長い期間で考察しているのに、破線で示されている傾向線に、国の例外なく見事に沿っているということがわかりますね。

 そしてこの伸び率は、財政支出の伸びが年平均5%であれば、名目GDPの伸び率も年平均5%になり、財政支出の伸びが年平均10%であれば名目GDPの伸び率も年平均10%になるというように、伸び率自体が同一だとみなせるくらい同じだということになります。

 名目の財政支出の年平均の伸びが10%のあたりのところを見ると、「日本③(1955~1998年)というのがあるのがわかるかと思います。これに着目してみて下さい。この期間の名目GDPの伸びも、概ね10%になっていることがわかります。1955年から1998年というのは40年以上に及ぶわけで、この間に日本の政治も社会も大きく様変わりしたはずですが、名目の財政支出の伸びと名目のGDPの伸びには、そうした様々な変化をものともしない安定した関係があることが見いだせることがわかります。

 そしてこの安定した関係は、バブル崩壊後の経済の動きを見た、『日本①(1994~2011年)においても見事に成り立っています。財政支出が伸びなければ、GDPも伸びないという関係が、はっきりと見て取れるわけです。

 さて、平成24年の日本の公的支出は102兆円であるのに対して、日本のGDPは470兆円でした。470兆を102兆で割ると4.6くらいになりますから、日本の名目GDPは財政規模の4.6倍くらいになると考えるのがよいのではないかということになります。

 そして、仮に日本の名目財政支出を今後5年かけて50兆円分増やしたら、日本の名目GDPはその4.6倍の230兆円分程度増えるという関係が成り立ちそうだということになるはずです。これならば、積極財政をやっていけば高い経済成長が実現するということになります。この4.6倍という数字を「政府支出乗数」と呼んでいます。

 ところが、内閣府のモデルではこうした関係を完全に否定しています。内閣府のモデルでは、財政支出を50兆円増やしても、日本のGDPは55兆円程度しか増えないということになっています。要するに内閣府のモデルでは、政府支出乗数は4.6ではなく1.1程度(実際には1.1未満)だと見積もっているわけです。つまり、今後5年かけて財政を50%近く増やした(102兆円→152兆円)としても、日本のGDPは11%(470兆円→525兆円)程度しか増えず、非効率だからやめた方がいいというわけです。

 日本の内閣府のモデルは、中立的な実証に基づいて作られているわけではなく、はっきり言えばかなり恣意的なものです。財政支出を増やしてもGDPはさほど増えないようにしようとか、消費税を増税してもGDPはさほどダメージを受けないようにしようといった「前提」があって、その「前提」に即したものとなるように、パラメーターをいじっていると考えた方がつじつまが合うわけです。

 ところがそのような恣意性によって生み出されたモデルでしかないのに、「コンピューターのシミュレーションによると、次のような結果が出ました」といって、財政政策を否定する「シミュレーション結果」を呈示してきます。そして国民がこれにうっかり騙されるということが起こったりするわけです。

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