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イタタタタ! 甘利大臣の認識違いはあまりにヒドい!


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 さて、しばらく放置しましたが、福田昭夫議員の質問に対する甘利大臣の回答について見て行くことにします。甘利大臣は以下のように回答されました。

 一番の問題はですね、15年間デフレが解消されていないわけでありますね。その中で在来的な政策を投じてきた。財政出動をしてですね、政府が需要を作って需給ギャップを埋めていこうと。それ自体は悪いことではなかったんだろうと思うんです。ところがですね、デフレ状態が脱却をしておりませんから、財政出動やその後の民間投資を呼び込むような政策がですね、ダイレクトに効いてこないのですね。前にもどこかでご説明をしましたけれども、車を走らせていてスピードを上げるためにアクセルを踏むと。アクセルを踏んだ時はスピードが上がるけれども、ちょっとアクセルから足を緩めると急激にスピードが落ちると。そこでまたアクセルに力を入れると。これは財政出動の連続であります。しかしなぜアクセルを踏んでいる時しか車が一定速度が保てないかと言って気がついてみたらサイドブレーキが目一杯引かれている状態だったと。これがデフレでございます。

 甘利大臣は完全な勘違いを起こしています。甘利大臣は「財政出動の連続」という表現で、この15年間何度も積極財政を試みたと思っておられるようですが、そんな事実はないからです。やっていない以上、効果がなかったのは当然なのです。

 日本のバブル崩壊が始まったのは、1990年の年初からです。以下の日経平均のチャートをご覧下さい。1990年の年初には39000円ほどあったのが、1992年には14000円近くにまで下落しています。1990年の年初の株式市場の時価総額は約600兆円あり、株価がほぼ1/3になったわけですから、株式は資産価格で400兆円近くが吹っ飛んだ計算になります。





 株式から少し遅れて不動産価格も急激な下落に突入しました。以下は3大都市圏の地価の動向を表したグラフです。凄まじい下落に見舞われたことがわかりますね。日本全体でも地価総額は2500兆円ほどあったところから2000年には1500兆円程度まで、約1000兆ほど吹っ飛んだと見られています。




 バブル期には「財テク」なる言葉が飛び交い、安い金利で借り入れを行い、株や不動産で運用するということが広がっていましたから、株も不動産も大きく値下がりした結果、大変な事態に見舞われたわけです。稼いだお金は借金の返済に回すようになり、消費や投資に回してくれなくなったわけです。

 ところが、このような強烈な逆風がある中でも、日本のGDPは1997年までは何と上昇していたのです。1990年の日本のGDPは449兆円ですが、1997年には523兆円にまで増えて行っているのです。資産価格が大幅に下落して、猛烈な逆風が吹く中でも、どうして日本のGDPは伸びていたのでしょうか。それはこの間は積極財政を展開していたからです。

 但し、バブルの処理が大きいために、税収が低迷するという事態が続いておりました。このため、年々財政赤字ばかりが増えて行く事態に怖くなって、政府は緊縮方向に舵を切りました。重病人が点滴を受けることによって何とか頑張ってきたのに、点滴代がかかりすぎるからということで、点滴をやめる方向を選択したのです。その象徴が1997年の消費税増税でした。

 甘利大臣は「15年間デフレが解消されていない」と言いましたが、今から15年前というのは1997~98年のことでしょう。つまり、消費税が増税された時からのことです。つまり、重病人から点滴を外したところから、甘利氏の言うデフレが始まったわけです。

 そして15年前からは緊縮財政に舵を切っているわけですから、財政規模は伸びていません。甘利大臣は「財政出動の連続」とまで言い、この15年間にたびたびアクセルを吹かせてきたつもりでいますが、実際にはアクセルなど全く吹かしてこなかったと言った方が適切だと思います。アクセルを吹かせてきたのはそれよりも前の話です。

 以下の2つのグラフは「ひろのひとりごと」のひろさんが作られた表です。少しぼけていますが、ごめんなさい。1つめのグラフは2000年から10年間の財政支出の伸び率をとっていますが、世界で最も緊縮財政を敷いてきたのが日本だということがわかります。



 そして世界一の緊縮財政を続けてきたから、日本のGDPは世界で最も伸びていないのです。



 バブル崩壊後の逆風の中で、財政政策が従来ほどの効果を発揮できなかったのは事実です。そしてそれはバブル崩壊の傷が癒えるまでは同じ状態となっていたことでしょう。バブル崩壊の傷が癒え、民間投資が明確に回復するまでは、積極財政政策を打ち続ける必要があったのに、政府はこれをやめてしまいました。点滴の必要な患者から点滴を取り上げた結果として体力が悪化し、デフレ状況に陥ったのです。甘利氏は1997年以前と以降の話の区別が付けられておらず、自分が思っている印象が現実の動きだったと勘違いしているわけです。

 このような認識違いを起こしている人が、経済・財政の責任者として安倍総理の厚い信認を受け、日本経済の舵取りを行っている状況は恐ろしくありませんか。そしてこの認識間違いから、消極財政しか道がなく、それを大胆な金融緩和と大胆な規制緩和によって埋めて行くしかないと思い込んでいるわけです。見かけは随分違うように見えるかもしれませんが、安倍政権の進み方は実質的には小泉政権の時の新自由主義路線と大して変わらないと考えた方が適切だろうと私は思います。

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コメント

1. “赤字”に対する、恐怖心とアレルギー


あぁ・・・、朝香様の痛みがわかります。

「おい甘利、お前もかっ?!」と言いたいです。

事実を把握していなければ、解決策も間違えますよね?
公開データをちゃんと調べればわかることなのに・・・。


ただ私が最近思うようになったのは
「こうした認識が無くならない原因は国民にもあるのかも?
日本の国民って基本的に“倹約”や<緊縮財政>が好きなのかもしれないな・・・」ということで
す。

「困難から逃げずに苦しさを乗り越えて~、それが誠実な人間だ。“赤字”を減らす努力をしないヤツは、ケシカラン!」というような風潮があります。

どうしても「政府の財政と家計は全く別物」ということが受け入れられないのかもしれません。

国民の“財政赤字”に対する恐怖心、アレルギーを何とかする必要もあるかと思います・・・。
どうすれば良いのでしょうか?

2. Re:“赤字”に対する、恐怖心とアレルギー

>3saka 脳腫瘍、顔面麻痺、片耳になったが人生悪くないさん
マクロ経済がわかっているトップの政治家が、メディアを通じて国民を説得するということが大切なんだろうなと思っています。今のトップがよくわかっていなかったようなので、本当に困るのですが。
どこかお金があるところが、わかりやすい動画でも作ってもらえないかなんて、思っています。

3. 甘利明って、人物は・・・

「日本なんか、どうなったっていいんだ」って、発言したトンデモ売国政治家じゃん!!
だからその程度の認識しか無いのかねぇ・・・

4. Re:甘利明って、人物は・・・

>かりあげ定食さん
甘利氏だけでなく、菅氏、茂木氏など、安倍政権の重要閣僚には、グローバル派・市場主義派が揃っています。各種諮問会議の委員も同様ですね。その点で、安倍総理自身も近い考え方なんだと思った方がよいかと思います。

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