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USTRの米議会への通告文は、日本の交渉力のなさを明確にしている!


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 4月24日(日本時間25日)に、アメリカ通商代表部(USTR)は議会に対して、日本のTPP交渉参加を認める意向を通知したことについては、報道を通じてご存知の方も多いと思います。ところで、この通知文には実際にはどのようなことが書いてあるかはご存知ですか。今回は通知文の中からいくつかの部分を抜粋して、その概要をご紹介します。(和訳は私訳であり、厳密性よりも読みやすさを優先していることはいつも通りとお考え下さい。)

 日本はまた、農業品も工業品もあらゆる物品を交渉のテーブルに載せ、今年中に高い水準で包括的な合意に至るよう、他のTPP参加国と協力することを確認した。(Japan also confirmed that it will subject all goods to negotiations - both agricultural and manufactured goods - and will join with the other TPP countries to achieve a high-standard and comprehensive agreement this year.)

 「農業品も工業品もあらゆる物品を交渉のテーブルに載せる」わけですから、米(コメ)などの特定の農産物についても聖域とすることは認めていないことがわかります。日本政府はアメリカ政府のこの発表が間違っているのであれば、しっかりと抗議すべきですが、そのような動きはありません。

 なお、TPPについては、複雑な交渉ゆえに実際の妥結には最低でも数年はかかり、最終的には空中分解して締結はできないんじゃないかという意見が時々聞かれますが、ここには明確に「今年中に高い水準で包括的な合意に至る」ことが示されています。このままいけば、近い将来において日本がTPPに巻き込まれるのは確実です。

 他にはこんなことも書いてあります。

 さらに、自動車分野と保険分野における両国間の懸念事項に関してと、それ以外の分野において日本が維持している非関税処置に関しては、2012年の2月から日本との間で綿密で詳細な協議を行ってきたが、その結果として、日本側に行動を促す強力な合意ができた。(In addition, and as a result of in-depth, detailed consultations with Japan since February 2012 on specific bilateral issues of concern in the automotive and insurance sectors, as well as on nontariff measures that Japan maintains in other areas, we concluded and announced on April 12, 2013, a robust package of agreements with Japan and actions by Japan. )

 「自動車」、「保険」、「その他の分野の非関税処置」について、日本が譲歩することで合意に達したことが明記されているわけです。

 そして自動車分野については、さらに具体的な記述が続きます。

 自動車分野における積年の深刻な懸念事項に取り組む重要性を認識し、米国が課している自動車関税の扱いに関して日本側との合意に達した。また、(日本側にある)非関税処置に取り組むことを含めて、自動車分野における幅広い懸念事項については、二国間でTPP交渉と並行して協議を行うことにも合意した。(In recognition of the importance of addressing long-standing, serious concerns with Japan in the automotive sector, we reached agreement with Japan with respect to the treatment of US. motor vehicle tariffs, and also agreed to conduct bilateral, parallel negotiations on a range of issues of concern to the United States in the automotive sector, including to address non-tariff measures. )

 日本から輸出される自動車に関しては、従来通りの関税が課されることを日本側が認めたというのは、皆さんもご存知ですよね。そのことがまず書かれています。

 さて、上記の和訳では読みやすさを優先して単純に「懸念事項」とだけ書いたところがありますが、元の英文では "issues of concern to the United States" となっており、より正確に言えば「米国にとっての懸念事項」となっています。つまり、自動車の輸出入について米国が不愉快に思っていることはTPP交渉とは別枠で米国とサシで交渉することを認めているというわけです。日本が不愉快に思っていることも交渉に載るとは一切書かれていません。ここでも日本はアメリカに交渉で押しきられている様子が伺えます。

 自動車以外の分野ではどうでしょうか。

 さらに、保険分野を含め、他の非関税処置に関しても、分野特有のものであれ、分野横断的なものであれ、一連の問題に米国が取り組んでいける追加的手段として、二国間でTPP交渉と並行した協議を行うことにも合意した。(Furthermore, we have agreed to bilateral, parallel negotiations with Japan on other non-tariff measures, including in the insurance sector, as an additional avenue for the United States to address a range of additional sector-specific and cross-cutting issues. )

 結局は「非関税処置」とみなされる全分野において、TPP交渉とは別枠で米国とサシで交渉することを日本は認めたということになります。しかもここでも「米国が取り組んでいける追加的手段として」と書かれており、米国が日本の問題に対して一方向的に関わることが明確化されているわけです。

 では、こうした様々な分野での交渉の進展を、アメリカ側はどう見ているのでしょうか。

 我々はこうした機会を、この分野において様々な壁に直面し続けてきた米国企業の活動領域が日本企業と同等のものにするのに極めて重要な機会であると見ている。(We view these negotiations as a key opportunity to level the playing field for US. companies, which continue to face a wide range of barriers in this sector. )

 アメリカ企業が今までよりも有利になる条件が、こうした機会によって実現できると謳っているわけです。アメリカにとっての勝利宣言のようなものです。

 ところで、逆に交渉を通じて日本がアメリカに認めさせたことは一体何なんでしょうか。この議会への通告には全く何も記載されておりません。早い話が日本がアメリカに認めさせたことは何もなかったということなのでしょう。こうした実態が、TPPを取り巻く日米交渉の現実の姿なのです。安倍総理を熱烈に支持する人たちには辛いところでしょうが、この現実を認めて強力な反対運動を起こさないと、日本がTPPにやすやすと取り込まれてしまうことになってしまうのです。

 現政府が行っているTPP交渉に関して、幻想を持つのはやめるべきだという意見にご賛同いただける方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。


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コメント

1. 政治家の答弁

ま~、交渉テーブルに乗せるという事は
変更の余地があるということ、つまり聖域をみとめられる可能性があるということ
と言われておしまいでしょうね、政治家の答弁なんてそんな物です。

3本の矢の公約も、

1 ”大胆な”金融政策
2 ”機動的”な財政政策
3 ”民間投資を喚起する”成長戦略、

私など2の文みただけで財政はやる気が半分ないと思ってましたけど、本気なら金融のように
大胆なとか大規模な財政政策と書きます。

結局党内の玉虫色状態を反映した、選挙向け、民主党との違いを支援団体に印象づける為の方便でしょう、機動的なんて減らしても増やしても機動的なんですよ方向性はどっちでも言い訳がつく、

TPPも公約段階で、交渉参加しない条件を掲げていましたが、主たる聖域なき関税撤廃が前提ならって、いくらなんでも全部一律撤廃なんてなる訳ないですから、殆どこの時点で交渉参加する気なんだろうなと思ってましたが、普通TPPが危険と認識していれば、無条件に交渉参加しないと言って終わりです。党内も反対派が多い状況で”しない条件”なんて政治家が言う時は本心はしたくてしょうがない、あれは交渉参加できる条件を整えて参加するぞと言ってるだけです。

ま~総合的にそれでも安部自民がマシと思って投票しましたんで、しかし安部支持の皆さんは未だに財政拡大政策が確約されてるとか、安部さんがTPPを危険と認識してるとか思ってるようなんでなんというかいつまでたっても日本人ってウブだな~と感じてます。

2. Re:政治家の答弁

>容疑者フリードマンさん
コメントありがとうございます。
私もナイーブな一人だったので、偉そうなことはいえませんね。仮に安倍総理が暴走しようとしても、党内の政治力学によって抑制されるなどと思っていたのですが、アホでした。この記事は自戒も込めて書いています。トホホ…

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