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戦後の日本の経済発展を自由貿易のおかげだとみなすのは単純すぎる!


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 戦後の自由貿易体制の中で、日本はその恩恵を存分に受けてきたのだから、自由貿易体制の拡充は日本の強みを発揮するのに適したものだという考え方があります。この見地から、TPP にしても、日中韓FTA にしても、日本は積極的に乗り出すべきだというわけです。

 しかし、ここにはいくつか勘違いが含まれているように思います。そもそも TPP 交渉が自由貿易交渉だと思っている時点で違うのではないかということもありますが、戦後の自由貿易体制の恩恵というのも疑問符がつく話ではないかとも思うのです。

 当初日本を占領したアメリカは、日本を二度と立ち上がれないようにすることを占領政策の基本としていましたが、中国の赤化の急進展などから、急激に方針を転換しました。東西冷戦の激化の中で、日本の国内でも急進的な労働運動が盛り上がるようになり、赤化の波が日本にまで及ぶことをアメリカは恐れるようになったわけです。むしろ日本を保護・育成して、赤化に対するカウンターにしていくことがアメリカの国益に適うと、アメリカ自身が判断したわけです。

 第二次世界大戦でめちゃめちゃになったのは、日本だけでなくヨーロッパも同様でした。このため、日本にもヨーロッパにも復興需要がありました。アメリカが資金を貸し付けて、その資金で日欧が機械設備を購入できるようにするということに、大きな意味があったのです。導入した機械設備を利用して生み出した製品をさばいていける市場を用意しておいた方が、円滑な資金循環が成り立ちやすいという側面もありました。このため、アメリカは自国市場を積極的に開放したのです。日本には関税の引き下げが求められることなく、アメリカばかりが関税を引き下げて日本の製品を受け入れる体制にしていたわけです。ところで、これを「自由貿易体制」と呼んで、果たしてよいものなのでしょうか。

 自国の産業保護のためにとりわけの政策を展開したつもりは日本側にはないわけですから、これを自由貿易体制だと錯覚するのはやむをえないかもしれませんが、現実に展開されていたのは、アメリカによる「保護貿易」だったと考えた方がよいのではないかと思います。こうした「保護貿易」の恩恵を受けて、日本は経済力を大いに伸ばしていったわけです。こうした特殊要因を無視して、「自由貿易の恩恵」というところに安直に飛びつかない方がよいかと思います。

 終戦時にアメリカのGDPは世界の5割を占めており、経常収支も大幅な黒字状態にありました。その圧倒的なパワーのもとで、国内市場を開放したところで、当初は影響は軽微だったのでしょう。しかしながら、どんどんとアメリカの相対的なパワーが低下していくのに伴って、同じ状況を続けていくことができなくなっていったのは、当然でしょう。現在においてはアメリカのGDPの世界シェアは2割程度にまで下がり、慢性的な経常収支の赤字に苦しみ、アメリカは今や世界最大の債務国です。60年前のアメリカと今のアメリカは、置かれている状況が全く異なっており、従って交渉相手としてのアメリカも全く違った存在であるわけです。この点を無視して、アメリカが日本に対してあこぎなことはしないと考えるとすれば、それはナイーブすぎると、私は考えます。


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コメント

1. “取るべき作戦”も変わりますよね?

当時の世界は「生産性が低く、“モノ不足”で、作れば売れた」。
そして「日本の人件費は相対的に安かった」から、どんどん輸出できた。

対して現在の世界は「“モノ余り”で、作ったモノが売れるとは限らない。」
さらに「日本の人件費は相対的には高くなった」から、輸出を大きく増やすのは難しい。

ーーーーー
このように条件が大きく変わったのだから、“取るべき作戦”も変わりますよね?
<政・官・財・マスメディア>の首脳陣には、「とにかく自由貿易を進めるべきだ」という根拠・理由を、もう一度落ち着いて考えて欲しいです。

2. Re:“取るべき作戦”も変わりますよね?

>3さか (脳腫瘍、顔面麻痺、片耳になったが人生悪くない)さん
コメントありがとうございます。
グローバル化によって経済的に世界の結びつきが強化されれば、それだけ世界は平和になるはずだと、単純に思っているところがあるのでしょうね。現実にはグローバル化の進展によって経済の安定性が損なわれやすくなり、それが世界的な戦争の引き金になっていたわけですが、どうもその点が理解されていないようです。
自由貿易にせよグローバル化にせよ、常に強者の論理として主張されてきたということを、見失わないでもらいたいと思います。イギリスだって自国の産業を保護してその強化に成功してから、自由貿易の方向に舵を取ったわけで、初めから自由貿易によって強大化したわけでもないのに、そうした歴史の本当の部分は、表に出て語られることがないのが残念です。

3. 無題

アメリカて何が優れた国なんですか?

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