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アメリカは断じて私たちが真似すべき国ではない!(3)


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 アメリカでの公共サービスの民営化は、刑務所にまで広がっているのはご存知でしょうか。刑務所を民営化したところで、運営企業はどうやって儲けるんだ?と思うかもしれません。その疑問は当然で、従来政府が運営してきた刑務所を、これまでの政府の運営費以下で運営しようとすれば、食事のレベルを引き下げるとか、刑務官の役割を果たす職員の数を減らすといったことくらいしか、普通に考えると浮かびません。そうしたサービス低下が囚人の更正につながるのかどうかははなはだ疑問ですが、いずれにせよ、その程度のことをやって運営費を引き下げ、政府から請け負った金額以下で運営を行ってみても、大した利益になりそうにはないですね。

 ところが、ここに盲点が一つあります。囚人は一般労働者ではないので、最低時給とか労働時間の上限といった労働規制が適応されません。なので、囚人を労働力として活用すれば、利益の上がるビジネスに化けるのではないかというわけです。即ち、刑務所運営ビジネスは、他の民間企業がアウトソーシングできる業務を安価で引き受けて、これを囚人に行わせることで収益を上げるという道が開かれているわけです。(上記はあくまでアメリカでの話です。日本の囚人は一般人以上に労働法規によって守られているかもしれません。)

 例えば、アメリカやイギリスの企業がコールセンターを設立する場合、国内にコールセンターを置くのではなく、インドなどに置くことが多いという話は聞いたことはないでしょうか。いうまでもなく、インドには英語を話せる人がたくさんいますし、請け負う金額も安価だからです。ところが、もし国内の囚人を使う場合には、囚人には最低時給や労働時間規制などが適応されませんから、インドなどの外国に委託するよりももっと安価にすますことができるわけです。こうしてコスト意識から外国に引き渡していたアウトソーシングを、刑務所運営ビジネスがより「競争的」な価格を提示することで受注すれば、利幅の大きな事業にすることが可能だということになります。

 囚人とはいえ、労働法制を完全に無視するような過酷な労働条件の下で働かせるのはどうなのかと個人的には思いますが、囚人を更正させるためには、一般人には不適切なレベルの過酷な労働を課すことも必要だったという理屈も成立するというわけです。そして、ここに目を付けた企業がこのビジネスに参入してきました。そしてこうした企業の中には、アメリカン・エクスプレスとか、ジェネラル・エレクトリックとか、スミス・バーニーといったビッグビジネスも数多く含まれます。

 このように囚人の労働力を民間企業のアウトソーシングに活用できるなら、公共事業などにおいても活用できるんじゃないか、ということになります。しかも、こうした事業に労働法の適応がない囚人を活用できるということになれば、財政悪化に苦しんでいる自治体にとっても「朗報」です。この結果、刑務所運営ビジネスは、民間企業のアウトソーシングのみならず、建設工事などの公共事業にも進出することになりました。

 労働法の適応がある一般の民間企業ではとても受注できない金額で、こうした刑務所運営ビジネスが様々な業務を手広く引き受けるようになると、囚人の数が足りなくなるという「問題」が発生します。そこで、刑法を厳しくするなどの処置をロビー活動を通じて行わせ、それにより労働力を増大させるということをやって、この「問題」を解決する道が開かれてきました。具体的には、罪を三度犯した者には本来の科刑に比較してより厳罰を科すという「スリーストライク法」が設けられたり、仮釈放を認めない最低固定刑量制が採用されたり、移民に対する取り締まりの強化(合法滞在証明書を携帯していないと、不法移民として即座に認定するなど)が図られたりといったことが行われています。以下のグラフを見れば、全米の受刑者数が近年凄まじい勢いで増え続け、既に200万人を軽く越えていることがわかるはずです。



 さて、アメリカでは日本以上に失業が大問題になっていますが、こうした刑務所ビジネスの拡大によって、一般の人たちの就業機会は当然減ることになります。新自由主義に基づく経済運営によって、貧富の格差が拡大し、貧困層がますます貧困の度合いを強める中で、貧困を原因とする犯罪がどんどんと増えていき、囚人の数も当然増えていきます。そしてこうした囚人たちが刑務所運営ビジネスの労働力として活用される割合が大きくなり、さらにそれによって失業問題が深刻化するという悪循環も、当然考えられます。そして、そうした囚人たちには当然自由はなく、彼らには労働法の適応もない中での過酷な労働が待っているというわけです。私には彼らは現代版の奴隷に見えます。

 このようなことが平然と進んでいることに、私はコーポラティズムの恐ろしさを感じざるをえません。私たちの日本を、アメリカのような国に近づけるなど、まっぴらごめんです。やはりアメリカは断じて私たちが真似すべき国ではないと思われた方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。


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