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パワーを求める現実の政治力学を軽視するな!


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 「誰もが平和を望んでいるし、個人的な利害を超えた公的な利益の大切さも理解している。だから、道理を尽くして話し合うことによって、大半のトラブルは解決できるはずである。」

 日本人の大半はこのような考え方を素朴に信じているのだろうと思います。なぜなら、日本の社会は歴史的にこのような原理を信じて生きていっても、決定的な不利益を受けることがほとんどない社会であり続けてきたからです。

 しかしながら、世界がすべてこのような考え方ばかりで動いているわけではありません。このような考えとは全く違う考え方もあるわけです。それは例えば以下のようなものです。

 「この世に卓越した力というものがないとすれば、より優位を求める立場による力のぶつかり合いは必然である。従って、平和な状態などというものは、圧倒的な力を持つ者が全体を抑え込むことによってしか実現されることのないものであり、その圧倒的な力を持つ者が示す秩序を、不承不承でも全員が受け入れることによって実現されているにすぎない。」

 侵略し、侵略され、支配し、支配され、殺し、殺され、を繰り返されてきた世界では、むしろこのような考え方の方が優越的でしょう。少なくとも、政治に携わって国の統治を企図する立場に立つ者たちの中では、このような考え方こそが標準だと考えた方がよいかと思います。そして、その考え方に立つならば、この世界の中でより優位の立場を目指して動いていくのは当然の行為とみなされ、そしてそれを実現できる源はまさにパワーであるということになります。そして中国はまさにこうした考え方に従って動いている国家だと考えるべきです。このパワーの中には、当然軍事力とか経済力も含まれますが、人々の考え方をコントロールするソフトパワーもまた重要なものです。

 例えば中国は、世界中に「孔子学院」を押し広げています。「孔子学院」は、孔子の教えなどとはほとんど関係のない機関です。ウィキペディアの定義をそのまま書きますと、「中華人民共和国が海外の大学などの教育機関と提携し、中国語や中国文化の教育及び宣伝、中国との友好関係醸成を目的に設立した公的機関」ということになります。孔子学院は採算無視で、中国政府が毎年多額のお金を持ち出すことで運営されています。なぜこのような機関を、世界中に中国政府は展開しているのでしょうか。

 中国語や中国文化を学ぶことを通じて、中国に対する親近感を高めていこうということだけでなく、中国政府の考え方を正しいものとして受け入れるイデオロギー上の刷り込みを行っていくことは、将来のパワーを拡大する上で極めて重要だと考えているからです。例えば、ここで学ぶ素材の中で、南京大虐殺なるものが起こって、無辜の中国人民が日本軍によって30万人も殺され、多くの女性がレイプされたという話が置かれているとすれば、その教育を通じて日本に対する憎しみと中国に対する同情を、多くの生徒たちに持たせることができるはずです。また、日清戦争のどさくさに紛れて、日本が尖閣諸島を清国から盗み取ったものだと教育することもできます。このように、中国政府が資金も出し、教材も提供し、教師も派遣する学校であるが故に、中国政府の主張をそのまま刷り込むことができるようになっているわけです。

 こうした戦略性が端的に示されるのは、これまで日本との友好関係が強かった高校や大学に孔子学院を設置する場合です。高校や大学に孔子学院を設置する場合には、多額の寄付がその高校や大学に対してなされたりもするわけですが、日本との友好関係が強かった高校や大学の場合には、日本との友好関係の断絶が条件とされたりするわけです。例えば、これまで行われてきた日本語の授業をなくすこととか、日本との友好記念としてグランドに植樹された桜並木を除去することとかを条件とするわけです。

 私たち日本人からすれば、「日本人が嫌いだとしても、どうして中国人はそこまで非理性的になれるんだ」と考えてしまいがちですが、実際にはそのような感情に駆られた馬鹿げた動きなどではなく、極めて理性的で戦略的な判断に基づいた動きなわけです。即ち、日本や日本人に親しみを感じる要素を少しでも多く潰していくことが、将来の日本孤立を実現する上での一つの重要な要素になりうると考えているからです。20年後、30年後に社会の中で中心的に活躍している世代には、こうした孔子学院で学んで中国に対して親しみを感じている者が多くなり、日本に対して特別な親しみを感じている人間が激減しているということを、計算に入れているわけです。日本を孤立させ、日本を屈服させれば、中国は東アジアでの覇権を実現することができることにつながります。そして、日本の持つパワーを自国のパワーの一部として利用できるようになれば、それは世界支配を目指す動きの中でも重要なものとして機能することになります。彼らは極めて長期的な計画性・戦略性に基づいて行動しているわけです。

 「正しいことをしっかりと主張すれば、世界は誤解を解いてくれる」と単純に考えられるほど、世界は甘くありません。我々が中国に潰されないためには、中国に負けないソフトパワー戦略を展開していく必要があります。そしてその中には中国のソフトパワーを潰していく戦略も考えていかなければなりません。当然、軍事力も経済力も中国に負けないだけのものを備えていくことが必要になります。そのために何をすべきかを考えるところからしか政治は始まらないと、私は考えます。

 こういう面でのリアリティや危機感が日本の「保守」政治家にもまだまだ欠けていると思われる方は、ブログランキングへの投票をお願いいたします。


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