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貿易赤字体質への変化を過小評価するな!


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 9月の貿易統計が発表され、本年度(平成25年度)上半期(4月~9月)の累計で、貿易赤字の累計がほぼ5兆円であることが明らかになりました。つまり、通年ベースで考えると10兆円の赤字です。貿易赤字の問題は、政府の財政赤字の問題よりもはるかに重大な問題であり、軽々に扱うべきではありません。

 政府の財政赤字は、日本政府が日本国民からお金を借りているという話でしかありません。赤字の子会社が黒字の親会社から金を借りているというようなレベルのことで、「連結決算」で赤字になっていなければ、さほど目くじら立てるような話ではないわけです。そもそも国内で貸し借りを行っているとすれば、どちらかがプラスであればどちらかがマイナスになるのは当たり前のことであるともいえます。貸している側がいる一方では、同額を借りる側が必ず存在することになります。つまり、政府が赤字でいてくれるお陰で、私たちはそれなりの金融資産を持つことができているともいえます。ですから、政府債務を縮減させるというのは、それだけ私たちの金融資産を減少させることに直結する話です。従って、この問題を過剰に取りあげてしまうこと自体が国民生活を破壊するものだともいえるわけで、あまり大きな問題として扱ってはならないものであるわけです。

 ところが、貿易赤字の問題は、日本が外国に対して赤字であるという話で、要するに人様から受け取る金額よりも支払う金額の方が大きいという話になりますから、純然たる赤字となります。この点では決して見過ごすことのできない大きな問題をはらんでいることになります。日本という国に対しては「もの作りにすぐれている」というイメージがあったはずですが、これが現実には確実に崩されてきているということが見て取るのではないかと思います。

 このことを端的に示しているのは、輸出数量という面において円安効果がほとんど見られないということがあります。つまり、ドル建てで貿易を行った結果として、円ベースで受け取れる金額自体は確かに増えていますが、円安に伴って輸出する商品の数量が伸びているわけではないのです。その一方で、石油・天然ガスなどの輸入品の価格が円換算で大幅に大きくなっていることにも目をしっかり向けるべきでしょう。つまり、輸出も輸入もトータルで見た場合には、円安が日本経済に対して世間で思われているようなプラスの効果をもたらしているわけではないということは、冷静に捉えるべきではないかと思います。(なお、原発を全面的に再稼働したとしても、通年の貿易赤字は10兆円が5兆円に下がる程度の効果しかありません。年間5兆円の改善は経済効果として当然ながら大きいですが、この点が改善しても日本の経済が貿易赤字体質に切り替わってきていることは見逃すべきではないと思います。)

 もちろん、円安が呼び水となって、海外投資ばかりを行っていた企業が国内回帰をしてくれるならば当然歓迎ですが、そうした流れを作り出そうとか加速させようという動きも、政治の世界からメッセージとして出てきているとは思えません。むしろ、中小企業を含めて「国際化」を促進させようという真逆の政策が打ち出されている状態です。

 非常に不思議であるのは、政府の財政赤字よりも遙かに問題の大きいこの貿易赤字の問題が、さほど大きな問題として国内で議論されることがないということです。政府の財政赤字という比較的小さい問題が国家を揺るがす大問題であるかのように扱われ、その結果として国力が削がれていく動きばかりが進んでいるのに対して、貿易赤字に関しては正当な危機意識が持たれていないのではないかと感じざるをえません。

 しかも私は、この両者は共通する根っこを持っていると思っています。即ち、財政赤字を大問題であるかのように扱って財政拡大を徹底的に阻んできたために、日本の国力を大幅に低下させることになってしまったのではないか、そしてそうした経済力の低下は商品の競争力の低下にもつながっており、このような貿易赤字の拡大につながっているのではないかということです。海外からの利子・配当の受け取りを加えた経常収支はまだ黒字を維持していることを考えれば、今すぐ国家を揺るがす事態に直結するわけではありませんが、将来への危険な兆候として捉えることが大切になると私は思っています。

 結局、戦後教育の中で、国家主義的観点からものを見ることをタブー視し続けてきた戦後日本が、国家主義的観点からものを見ることを当然の前提として考えている諸外国に、いいように食い物にされているということが、この観点からも明らかになったともいえるのではないでしょうか。こうした国家的視点からの危機意識をを安倍内閣も実はきちっと持っていないために、適切な方向性を持った政策が打ち出されていないということを、私たちは見失うべきではないと思います。


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コメント

1. 無題

貿易赤字は、原油、天然ガス等化石燃料が一番の要因のようで原発停止の影響は大きいと思われますね。貿易統計の輸入品目を見ても他にはなかなか思い当たる要因が解りづらいですね。証券会社のレポートをちらっと見て、フランス、イタリア等からのワイン、バッグ、衣類等の輸入が増えている旨ありました。景気の上昇感でこれら購入が若干増えている傾向があるようです。
円安で海外からリ・ショアリングして工場設備が国内回帰しないと、何れ日本の生産技術が衰えてしまうなと思います。製品企画、設計だけでなく、こまかに造りこまないと製品は出来なくなるんですね。
これは自分の経験で外注化している会社の設計技術者は変なもの設計してしまうんですね。

2. Re:無題

>グラースさん
細かいところでは、バックドアが疑われている中国からの通信機器の輸入が28%も増えている点が目立ちます。こういうところにも国家的な視点が欠如していることが示されているかと思います。EUからの輸入では、医薬品・航空機類・原動機の輸入が大幅に増大していますね。
他方、輸出においては船舶や映像機器の輸出が大幅に落ち、一般機械も3.4%の減少しています。平均レートで18%ほど円安が進んだにも関わらず、円建ての輸出額で18%を超えて伸びているものが鉱物性燃料のみしかないというのは、実に寂しい話です。
リショアリングを進める政策を打たないとまずいですよね。
ところで、今月の例会は残念ながら私は出席できません。残念です。

3. 輸出は増えていない

初めまして
貿易赤字こそが本当の借金のようですね。
確かにこのことはあまりニュースにはなっていません。
「円安に伴って輸出する商品の数量が伸びているわけではない」
これは気が付きませんでした。円安の差益で輸出業者が儲けているだけでした。

4. Re:輸出は増えていない

>hoenteさん
コメントありがとうございます。
私も今回のデータを見て、輸出数量が伸びていないことにはショックを受けました。

5. Re:Re:無題

>朝香豊さん

私の方は、今月の例会に行ってみようと思っています。生活の畑こうじさんで多分あまり人気のなさそうな会になってしまいそうですね。
生活関係者と地元を含めて縁があるので行かざるを得ない感じです。
話は変わりますが、未だに中国でスマホを始めとした家電機器の組み立てをしている日本企業が多いので忌々しく馬鹿馬鹿しい限りです。

6. Re:Re:Re:無題

>グラースさん
国会意識を去勢された日本のていたらくは今後も続くということなんでしょうね。こうした私たちの危機感を体現できる政党が国会にないということが、危機の深刻さを表しているように思います。

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