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米韓 FTA から TPP を考える1

 TPP 問題を考える際には、先頃結ばれた米韓 FTA の内容が大いに参考になります。幸いアメリカ通商代表部(USTR)は米韓 FTA の要点をまとめた文書( Summary of the U.S.-Korea FTA ) というものを発表しています。これを見ていくと、米韓 FTA の具体的な内容がどのようなものだったのかがよくわかります。当然ここから、TPP におけるアメリカの狙いも理解できるわけです。

 今回は、この文書の自動車に関わる部分から一部を抜粋してみます。

 Korea has also agreed to overhaul its system for taxing cars based on "engine displacement" (韓国はまた「自動車の排気量」に基づいて課税する仕組みを一新することに同意した)

 in addition, commits the Korean government not to impose any new engine displacement taxes (さらに韓国政府が新たな排気量に基づく税金を課さないようにさせる)

 Korea agrees to address specific automotive safety and environmental standards to ensure they do not impede the market access of U.S. autos (アメリカの自動車の市場アクセスの妨げとならないように、特別な自動車の安全基準と環境基準づくりに取り組むことに韓国は同意している)

 Korea also agrees not to adopt technical regulations that create unnecessary barriers to trade and to cooperate to harmonize standards (韓国はまた、貿易や基準統一のための協力に不必要な障壁を築く技術的な規制を採用しないことにも同意している)

 allows the United States to suspend ("snap-back") tariff concessions on Korean passenger cars should Korea be found in non-conformity with or causing nullification or impairment of its obligations under the Agreement (万一この FTA のもとでの義務に韓国が従わないとか、義務を無効にしたり弱めたりする行っている場合には、韓国の乗用車に対する関税上の優遇処置をアメリカは停止できるようにする)

 排気量が上がれば、それだけ環境に負荷をかけるのは当然でしょう。ですから、排気量が上がればそれだけ多くの税金を課するというのは、環境政策として真っ当なことだと思います。ところがこうした処置を施すと、アメリカ車の販売には不利に作用しますから、アメリカ側はこうした処置を「不公正な非関税障壁」だと言っているわけです。自動車の安全基準・環境基準・技術基準は、アメリカ車の販売が不利にならないように決めなければならないというわけですから、高い技術を持ち、高い環境規制に対応できる車を作り出せなくなったアメリカの自動車メーカーの実情に合わせて、規制を緩めることを求められているわけです。そしてこの結果としてアメリカ車の韓国での普及が進まなければ、韓国は FTA の義務違反だとされ、関税撤廃の利益すらなくされてしまうということになっているわけです。

 さて、アメリカが韓国に要求したことを日本に当てはめてみた場合、どうなるでしょうか。排気量によって課税金額が異なる自動車税・軽自動車税は抜本的に改めることを求められることでしょう。車体重量によって課税金額が異なる自動車重量税も抜本的に改めることを求められることでしょう。自動車取得税についても、軽自動車に対する軽減税率の適応は認められないことになるでしょう。エコカー減税などの環境対応車への優遇処置も認められなくなるでしょう。環境負荷を考えて、軽自動車や環境対応車を優遇することができなくなる可能性は極めて高いわけです。

 実際、アメリカは TPP に日本が参加する最初の条件として、自動車と牛肉と郵政の問題を持ち出してきました。日本自動車工業会は「日本市場のどこが閉鎖的なのか?関税はゼロだし、欧州車 は売れてるし。アメリカの努力が足りないだけだ」と、一見至極真っ当なことを言っていますが、アメリカが「日本の自動車市場は閉鎖的」と考えているレベルはそういう話ではないということには気付いていないようで、残念です。自動車においては米韓 FTA と同様の要求を突きつけてくるのは間違いないところです。

 真っ当な環境規制すら非関税障壁とされてしまうようなものになぜ我が国が参加しなければならないのでしょうか。印象ばかりで語るのではなく、このような具体的な事実に基づいて考えることが大切だと思います。
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