記事一覧

東電の談合批判は稚拙すぎないか?


政治 ブログランキングへ

 送電線の工事の発注において、発注元の東京電力自身が談合に積極的に関わっていたことが報じられました。例えば、日経新聞では以下のような形で、東京電力の関与を伝えています。記事の一部を抜粋します。

 公取委によると、一部の入札で、発注担当の東電社員が受注させたい業者を伝えるメールを入札参加業者に送っていたことを確認した。別の社員は不自然な入札に気付いて「ばれないようにうまくやれ」と発覚しないように助言するメールを各社に送信していた。談合に参加した各社の担当者には東電OBが7人含まれていた。(中略)東電が開く入札の説明会の場で参加業者の顔ぶれを把握した後、受注調整の話し合いが開かれた事例もあった。(中略)公取委は「公益性が高い電力会社で、原発事故対策に国費も投じられている。談合で高止まりした工事価格が電気料金に転嫁された可能性もあり、違反行為を助長した責任は重い」としている。
日経新聞の記事

 この記事を素直に読めば、原発事故後の東電に向ける世間の目が厳しい環境下にあるにも関わらず、関連企業に天下った東電OBと人的なつながりのある現役の東電社員が結託して、自分たちの「ムラ意識」を優先させるような談合を相変わらず行っていたという話になりそうです。そしてそのように見れば、何て東電の社員は腐った奴ばかりなのかということになります。

 しかしながら、本当に原発事故後の厳しい目が向けられている環境下でも、自分たちの将来の天下り先の確保などの私的利益のために、東電社員が談合に積極的に関わっていたのでしょうか。真相は私のような第三者にはわかりませんが、別の可能性は考えられないでしょうか。即ち、本気の価格競争が仮に行われた場合に、最安値を呈示した納入業者がその価格でも自社の利益を確保するために、納入製品の品質を落としてくることに対して、東電社員が危機意識を持ったのではないか、というようなことです。送電線という電力供給の肝の部分には、低品質のものはどうしても避けたいという公益意識が強かったということも、あるのではないでしょうか。発覚した場合の社会的リスクを考えられないほど東電社員は無能で、モラルのかけらもないと考えるのは、却って不自然ではないかとも思います。

 「透明性の確保は時代の流れだ」とする考えもあるでしょうが、透明か透明でないかによって一刀両断にするという考えの幼稚さに、私たちは気付くべきだと思うのです。もちろん、制度を悪用して天下り先の確保などにも使われる側面などもあるのでしょうが、100%ピュアな公共善など空想の産物でしかないということを、忘れるべきではないでしょう。

 問題は、こうした極端に潔癖な批判が大手を振る世の中になって、正直な議論が全くできなくなっていることだと思います。「談合は必要だ」などという意見は、社会に存在してはいけない意見であり、表明してはいけない意見だという流れが出来上がっています。これこそファシズムではないでしょうか。そしてこのファシズムを推進しているのが、まさに主要マスコミです。

 マスコミに求められるのは、客観性の高い事実の報道であり、マスコミ自身がその事実をどのような色を付けて切り取ったかでは本来ないはずです。もちろん、どのような色も付けずに切り取るということはできないでしょう。それでもなるべく偏った色にならないように細心の注意を払うことも必要ですし、色がついてしまうことに対して謙虚であるべきだし、自らがつけた色とは違う色もあることを、公正な扱いで紹介すべきでしょう。そういうことが期待できない情報空間になってしまっていることが、日本の最大の問題点でしょう。

 ここを正すには外国権力との戦いなどもあり、決して容易な話にはならないでしょうが、避けて通ることはできません。簡単な解決策など望むべくもないのですが、自分なりに最大限の努力を行っていくつもりです。お知り合いにマスコミ人がいましたら、このブログをどうかご紹介下さい。私はマスコミ人にこそこのブログを知ってもらいたいですし、彼らと議論することもやりたいと思っています。


政治 ブログランキングへ
スポンサーサイト

コメント

1. 談合は必要です

設備工事を完全な競争入札で行なうのは、大変危険極まりないことです。私は電力関連業界については多少知っていると自負しています。工事は材料と労務人件費からなりますが、どこが請け負っても金額の差をつけることは難しいです。材料費を叩けば品質を落とさなければ実現不可能ですし、労務人件費を低減する為に無理をすれば、工期を短縮しなければ実現不可能でどこかで手を抜くか、作業員に無理を強いるかしなければ実現出来ません。安全対策費等間接費を疎かにすると施工事故、人身事故のリスクを高めることになります。送電線鉄塔等は施工場所が山間部等有って効率が悪く、また重機を使う高所作業であります。鉄塔組み立ては専門性の高いものなので、一般競争入札よりも指名入札が向いています。指名業者間で事前に落札業者が決定され、落札価格が決まっていても致し方ないと思います。落札業者も大儲け出来るものではありません。工事予定価格も発注者側で長年の蓄積があり、歩掛かりもあるので適正価格で発注されていると考えたほうがより常識的です。無理な競争を強いると工事業者が適正利益を上げられず倒産するだけです。電力業界の新規設備投資は減少傾向にあるので企業合併等で絞りこんで、生き残りをはかっている状況にあります。ここで競争させても不毛で、いつの日か施工業者がほとんどいなくなり、専門技術、人材が失われて、発展途上国のように自国で設備建設が出来ないことにもなりかねないと心配になります。

2. 連投すいません

電力関連業界のことで、現在原発事故等もあり、東電は関連会社の合併再編で人員減の方向にあると思います。資材調達価格の低減である金属製品等は、肉厚を落として価格低減にされています。もともと高スペックに設定されてはいましたが、福島第一原発の津波ではないですが、万が一への対応からは遠ざかる傾向にあると思います。私の実際の経験からですが、工事を安くても受注したい企業は経営的に行き詰まっていると思います。安い価格で無理に請け負いし続けて倒産した企業がありました。今回の記事のように実状を知らず倫理観だけで、不正と責めたてるマスコミには辟易とする思いがあります。新聞、書籍こそ再販売価格維持を撤廃して、自由に心いくまで競争に努めて頂ければいいと思います。安定した独占、特権の世界に身をおき他者に過酷を強いることだけは止めてもらいたいと思います。

3. やはり談合は必要ですか!

>グラースさん
お仕事を通じて関わってきた方の論は説得力がありますね。工事を確保するために安値受注を繰り返して倒産した企業もあるのですか。それでは保守・点検の観点でも困りますね。価格を引き下げるために肉厚を下げるとか、そういう話が全然国民に知らされていないのが、悲しい話です。マスコミの犯罪性を改めて実感した次第です。

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

朝香豊AY

Author:朝香豊AY
FC2ブログへようこそ!