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自衛隊を悪だと初めから印象づける報道に反対する!


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 海上自衛隊輸送艦の「おおすみ」と釣り船との衝突事故では、2人の方が亡くなる惨事となりました。お二人の方のことは当然ながらお気の毒だとも思いますし、ご冥福をお祈りしたいとも思います。

 ただ、そのような犠牲者が釣り船側に出たからといって、自衛艦側の方に非があるという初めからの決めつけは当然避けるべきだと思います。

 しかしながら、すでにマスコミ報道においては、自衛艦の方に問題があったことをにおわす報道が相次いでいます。もちろん、それが事実に即したものであるならば、そうした報道が出るのも当然なのですが、事実をねじ曲げた相当悪質な印象操作を行っていると考えるべき報道がかなり行われています。

 釣り船の乗客の寺岡章二さんの発言に基づいたイメージとして、例えばテレビ朝日では次のような解説図が映し出されました。



 また別の一例として、中日新聞には以下のような解説図が掲載されました。



 確かに寺岡章二さんの発言とは矛盾しない図にはなっていますが、全長178メートル、全幅25.8メートルの巨大艦が進路を変える時に、それほど大きな角度では変えられるわけがないという常識が、最初から欠落しています。つまり、謙虚に真実を追究しようという姿勢がこうしたマスコミには初めからないことがわかります。

 また、これほどの大型船が周囲に来ているとしたら、釣り船側が危険を察知するのが筋ではないかと思います。巨大な要塞のようなものが迫ってくるわけであり、そのことに直前まで気付かなかったとしたら、それは重過失でしょう。以下の図をみれば、釣り船のすぐ近くに「おおすみ」が来た場合に、どれほど威圧的な存在となるのかは、明らかだと思います。



 しかも「おおすみ」はぶつかる直前に警笛を5回鳴らしたということもわかっています。船の汽笛は一般にかなり長い時間(1回あたり5秒程度)鳴らすのが普通ですから、警笛を鳴らし始めてぶつかるまでに30秒くらいはあったと思われます。警笛はかなり遠くまで伝わりますから、すぐ近くの船から警笛を鳴らされたら、ビックリするのが普通で、その段階で危険回避行動をとっていれば、このような事故は防げたとも思います。

 さらに、釣り船がぶつかっているのは、「おおすみ」の左やや後方です。船長が仮に進行方向しか向いていなかったとしても、船の前方にある「おおすみ」の存在に気がつかなかったということは信じられない話です。



 このように、わかっている事実を冷静に突き詰めていくと、釣り船側に信じられないような重過失があったとしか思えません。どうしてこんな重過失があったのでしょうか。捜査が本格化するのはこれからですから、以下は私の勝手な推測にすぎませんが、船長は船に乗って50年の大ベテランだそうですが、その船乗りとしての経験の中で、決して褒められるべきではない「常識」を身につけてしまった可能性があるのではないかと思います。それは、自衛艦は衝突事故を起こすとマスコミで大問題にされるから、絶対に自衛艦の方から回避してくれるというものです。実際、自衛艦が航行する際に、民間船のために進路を変更したり、減速させたりすることが普通となっているようです。今回のことでも、「おおすみ」が低速で航行しつついったん右方向に舵を切ったのは、貨物船を避けるため=民間船を配慮するためだったということがわかっています。そういう誤った「常識」が船の関係者に広がっているとしたら、こんな奇妙な「常識」は改めるべきものです。こんな「常識」を改めるきっかけになってくれれば、今回の事故にも意義が見いだせるのではないかと思います。

 そもそも自衛艦というものは、いざ軍事作戦の展開が求められた時には、全てに優先してその作戦のために動かなければならない存在です。民間船が常日頃からそうした自衛艦のあり方を理解して、その航行をスムーズにさせるような配慮が払えるようになっていなければ、いざという時にも役に立たないということになるでしょう。自衛艦も船の航行上のルールは当然守らなければなりませんが、民間船に対しては、自衛艦の航行をなるべく妨げないように努力する義務を課すべきだとも思います。

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コメント

1. こんばんは

朝日や毎日の報道の仕方には、私も不信感を覚えました。事故調査結果を待って、慎重に判断すべきだと思います。ただ、筆者も同様に小型船舶の重過失を断じておられることが残念です。

尚、おおすみの進路変更は、航海法に基づく回避(横切り航法)で、民間への配慮といった類のものではないと考えます。

2. Re:こんばんは

>オオクニヌシさん
確かに私が見落としているような視点が実はあるのかもしれませんから、重過失だと最終的に決めつけるのは正しくないとは思います。それでも、現在わかっている情報を整理した上で、「わかっている事実を冷静に突き詰めていくと、釣り船側に信じられないような重過失があったとしか思えません」という判断を現段階で表明することは、許される行為だと私は思っています。
「おおすみ」の進路変更についてはおっしゃる通りだと思いますが、「おおすみ」の速度が釣り船の乗客が驚くほどの低速であったのは、高速航行で「おおすみ」が前に出て、貨物船側に進路変更義務を生じさせるのを防ぐ処置だったと考えるのが、現段階では合理的ではないかと、私は思っています。

3. 返答ありがとうございます

誤った認識を前提とした仮定の話には説得力がありません。

大切なのは、航行中の船舶の事故をいかに防止するかであって、この件で、軍事作戦を引き合いに出すことが適当だとは思えません。

4. Re:返答ありがとうございます

>オオクニヌシさん
 オオクニヌシさんは冷静な判断をされる方であり、冷静な議論ができることを嬉しく思っています。

 確かに私の今回の論が仮定部分から踏み込んだ結論を導いているものだと捉えるのは、筋が通っていると私自身も思っています。オオクニヌシさんはその点で今回は朝香らしくないと思われているのでしょう。頼もしいところです。

 なぜ私があえて踏み込むことを行ったかについては、ご理解はしていただけないと思いますが、そういうことが必要な場合もあると、私自身が思っているからです。

 私の中では、自衛隊の艦船が常日頃から民間船に対して過剰ともいえる配慮を行うのが常識化しているということに対する問題意識があるわけです。もちろん世間一般ではほとんど知られていないですし、オオクニヌシさんも共有されていなかったところだと思います。しかし、これはオオクニヌシさんが問題にされる「航行中の船舶の事故をいかに防止するか」とダイレクトに絡むことになります。自衛艦に関しても、他国における軍艦と同等の扱いがなされるべきだと私は考えます。

 また、衝突位置が「おおすみ」の真ん中よりやや後ろということは、艦の先頭から100メートルほどの地点です。つまり、釣り船の進行方向から見れば、左に100メートル、右に80メートルも伸びる艦の存在が確認できる位置です。並走に近い状態であったとしても、進行方向を見さえすれば、自分たちがいかに危険な行動をとっているかは明らかだと思いますし、仮に進行方向を見ないで操船しているとすれば、それだけで重過失といえるという判断は合理性を持つとも思います。

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