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お遍路ステッカー問題に見る日本の病理


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 四国の霊場巡りの「貼り紙」の問題を、今回は取り上げてみます。皆さんよくご存知だと思いますが、この問題はお遍路フリークとなった韓国人女性がハングル表記のついた四国霊場の道順を示すステッカーを4000枚以上貼ったことに対して、「日本の遍路道を守ろう会」を名乗る者が「気持ち悪いシールを四国中に貼りまわっています。日本の遍路道を守る為、見つけ次第はがしましょう」との張り紙を貼ったことが人種差別的であるとされたことです。


  (韓国人女性が貼ったステッカーの一例)


  (「日本の遍路道を守ろう会」を名乗る者が貼ったシールの一例)

 この問題に関しては、「日本の遍路道を守ろう会」を一方的に叩く前に、四国霊場の道順を示すステッカーが許可を得た上で貼っていたとする韓国女性の主張に誤りがあり、許可を得ていないで公共物などにも貼っていたことについてもきちんと報道すべきだと思います。また、道順を示す順路の矢印の方向の貼り方がいい加減で、その示す矢印に従って進むと道に迷う可能性があったということも明確にすべきだと思います。こうした事実を明確にしないで「日本の遍路道を守ろう会」の方を一方的に人種差別的だと叩くというのは、公平性に欠けた話です。そしてそのような報道を日本の多くのマスコミがなぜか普通に行っていることに対しては、当然違和感を感じます。



 しかしここで、上記とは別にもう1つ問いたい問題があります。仮に順路の矢印が正確に貼ってあり、許可を得ていたところだけに貼っていたとしたら、果たしてこの韓国女性のステッカー貼りは問題なかったのであろうかということです。

 この件では考えにくいかもしれませんから、別の例を取り上げてみましょう。例えば私たちが仮にアンコールワットに大いに魅せられたとして、カンボジアのアンコールワットに続く道すがらに日本語表記の道順をべたべたと貼るということをやりたいと思うでしょうか。あるいはそのようにべたべた貼られたステッカーを見かけた時に、日本人として嬉しく思うでしょうか。むしろ不愉快さや違和感を感じるのが普通だと思うのですが、私たちはこれのどこにそうしたものを感じるのでしょうか。

 当たり前ですが、アンコールワットはカンボジアの歴史が深く刻み込まれたカンボジア文化の一部であり、日本文化に属しているわけではありません。従って日本語表記を持ち込んだ段階で、すでにカンボジアの現地文化の一部を穢していることになるはずです。そもそも歴史的な建造物に対してはできるかぎりそれとは相容れない現代文化をなるべく持ち込まないべきであって、よほどの必要性でもないかぎりステッカーのようなものにしても排除しておくべきものです。

 この韓国人女性は、四国八十八カ所霊場会によりお遍路の魅力を伝える「先達」に外国人女性として始めて公認されるほど、お遍路という日本文化に魅せられた方だそうですが、実はこのような文化にまつわる基本的なことを全く理解していなかったか、理解した上で意図的にやっていたということになります。その意味で、この韓国女性自体に大きな問題がそもそもあったということは否定できないでしょう。

 韓国女性だけではありません。この問題に対して四国八十八カ所霊場会にしても、「差別は許されない。ほかにも貼っているようであれば、止めさせていきたい」として、「日本の遍路道を守ろう会」の方を一方的に批判しているとされています。実際のところはどうなのかと、四国八十八カ所霊場会のウェブページを確認させてもらいましたが、この件については何も触れられておらず、残念ながら確認できませんでした。

 従ってここからは想像の域を出ませんが、お遍路の魅力を伝える「先達」に選んでしまってから、彼女のこうした活動を霊場会は少なくとも黙認してきたのだろうと思います。霊場会の人たちにしても恐らくは彼女の活動に対して違和感を感じるところはあったと思いますが、民族差別的に見られることを恐れる気持ちがあり、批判をためらわれてきたではないかと思います。そしてそこには、本質的に正しいと感じられることを勇気を持って選び取るという態度はなく、外部からの批判をなるべく受けない道を選ぶことが友好親善の上で大切な態度だとする戦後教育的な価値観がちらついているように感じます。この点で、今回のこの問題について問題にされるべきは、ステッカーを作って貼りまくった韓国女性以上に、そうした韓国女性の行動を少なくとも黙認してきた日本人の側にあると、私には感じられるわけです。そしてそうした態度こそが「戦後レジーム」を象徴するものではないかということについて、私たちは自覚すべき時が来ているのではないでしょうか。


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コメント

1. 無題

このニュースは初めて知りました。韓国人だと別の意味でネトウヨが叩きそうな気がします。しかしアンコールワットの例えは分かりやすいです。そして人権という言葉の意味合い、差別についても考えさせられます。浦和レッズの問題もありましたので、今回もたいへん示唆に富む視点勉強になりました。

2. 無題

今回の件は新聞報道だけでは分かりにくかったのが、よくわかりました。ありがとうございます。

3. 無題

ブログ読みましたよ!
全記事読んじゃいましたよ♪
また来ますね~

4. Re:無題

>グラースさん
ご評価頂き、ありがとうございます。「人権」「平等」「理解」といった言葉について、無前提に善だという見地から出発するのではなく、常に相対的に考えられる柔軟性が必要なのだということなんだろうなと思っています。

5. Re:無題

>山内省二さん
お褒めを頂き、大変嬉しく思いました。ありがとうございました。

6. 無題

道案内シールは日本人自身が既に日本語のものや、最近では英語のものも普通に貼っているものなのですが。http://www.omotenashi88.net/ac/ac_sh.html#ac_sh_seal
http://furunet.ddo.jp/blog/index.php?e=26840
それらも確かに法的には違法かも知れませんが、少なくともアンコールワットに日本語の案内シールが貼ってあると不愉快に感じるのではないか、という論点はズレているのではないでしょうか?
地元では遍路の道案内シールを貼ることが既に慣例化しているようなのです。

また、地元高知の地元紙に、ステッカーの添付が好意的に紹介されていると言うことも留意すべきではないでしょうか?
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2013/05/2013_13686666992464.html

7. 拝見しました

おっしゃるとおりですね。
冷静なご意見だと思います。

日本語以外の表記はやめてほしいですね。

8. Re:無題

>月さん
月さんと私はこの点で認識の相違がありますね。私は近年駅の標識などにおいて、日本語と英語(あるいはローマ字)に加えて中国語と韓国語の表記があることについても、不愉快な思いをしている人間です。以前から日本人がたくさん渡航していることで知られる台湾でさえも、駅の案内などで日本語も併記されているのは見たことがないですね。(商品などには日本語がそのまま表記されているのはよく見かけますが。)
他国文化に敬意を示すという立場に立つなら、こうした行為を行おうという発想自体が生まれないものだと思います。また、自国文化に誇りを持とうとする立場に立つ人間であるなら、このような行為を好ましいかのような立場では報道しないものでしょう。他国文化への十分な敬意を持たないひとが始めたことを、自国文化への十分な敬意を持たないひとが好意的に報じているという図式だと思います。

9. WhiteLionでございます。

少しコメントしていきます☆ブログの見せ方ってやっぱり人ぞれぞれ違うんですね~。因みに私は少し面白い事を書きましたのでよかったら覗きに来てくださいね。つまらんコメントで申し訳ありませんでしたm(__)m

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