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「美味しんぼ」の放射線に関わる作話を許すな!


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 小学館の「ビッグコミックスピリッツ」に連載されている「美味しんぼ」に、福島第一原発を見学した山岡らの一行が、帰宅後にひどい疲労感と鼻血の症状に襲われたとする描写が掲載されて、ネット上で物議をかもしているとの報道を見かけました。山岡は取材の過程で前双葉町長の井戸川克隆氏と岐阜環境医学研究所所長の松井英介医師のもとを訪れ、井戸川前町長から「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」と告げられる描写もあったようです。

 これに対して福島県民の方から「流石に福島県民として抗議の意を示したい。僕はこの三年間、鼻血なんか出たこと無いですが」とのツイートが発せられ、すでに1万回以上リツイートされているとのことです。私はツイッターをやらないので、実際のことはよくわからないのですが、ツイッターをされている方はぜひご確認下さい。

 なお「美味しんぼ」の著者の雁屋哲氏は実際に福島第一原発の取材を行い、取材から帰宅してから夕食を食べていると突然鼻血が出て止まらなくなったそうです。そしてその後も夜になると鼻血が出るということが続いたそうです。しかも自分だけでなく、取材に同行したスタッフも井戸川前町長も鼻血と倦怠感に悩まされていたといいます。雁屋氏にすれば、その時の体験をこの漫画にまとめたということになるのでしょう。

 さて、雁屋氏が鼻血を出し始めたのは福島の取材から帰ってきてからということですから、取材して数日後なのか1週間後なのかわかりませんが、さほど時間がかかっていない段階で症状が現れていることになります。ですからこれが福島取材と因果関係を持つものだとするなら、いわゆる急性放射線障害の症状だということになります。では放射線を浴びることによって鼻血が出て倦怠感に襲われるという急性放射線障害の症状が現れるのはどのくらいの放射線量を浴びた場合でしょうか。放射線医学では500ミリシーベルトから1シーベルト(1000ミリシーベルト)の放射線を短時間に浴びた場合に起こるとされています。

 ところで、朝日新聞は今年(2014年)の3月に、福島第一原子力発電所で事故が発生してから3年間で5ミリシーベルト超の被曝をしていた作業員が約1万5000人、50ミリシーベルト超は1751人、100ミリシーベルト超は173人だと報じました。つまり、福島第一原子力発電所の中で過酷な作業に従事していた作業員でも100ミリシーベルトを超える被爆線量の方は例外であったことがわかります。しかも記事の書き方からすれば、この放射線量は3年間の累計値ですから、短時間被曝の話ではありません。年間100ミリシーベルトの放射線量を浴びた場合でも、一生涯のガン死亡リスクが0.5%増加するにとどまり、少なくとも短期で発症する症状はありません。とすれば、放射線医学が明らかにしている科学的知見と雁屋氏の体験の間には、あまりに大きな隔たりがあることになります。

 100歩譲って本当に雁屋氏は鼻血が出たのだとしても、それは単なる偶然の一致にすぎず、そこに因果関係を見いだすことはできません。しかも彼は同行スタッフにも同様の症状が出ていると言い、さらに井戸川前町長に「福島では同じ症状の人が大勢いますよ。言わないだけです」と言わせて、明らかに福島全体で一般化している現象であるかのように話を進めています。ここまで言うのであれば、少なくとも富岡町とか浪江町といった福島第一原発に近いところでは鼻血現象は普通に見られる現象になっていなければなりませんし、福島第一原発で働いている作業員の中にも当たり前のように広がっているはずですが、そんな話はないわけです。こういう事実を積み上げていけば、捏造の虚言だと言われても仕方ないでしょう。

 現実をリアルに把握するところから認識を持つのではなく、自分が信じたいイデオロギーが先に立って、そのイデオロギーに合わせる形で作話をするというのは、実はよくある話ではないかと思います。かの「従軍慰安婦」なるものも、吉田清治という作話師が自分が信じたいイデオロギーに基づいて作り上げた嘘でした。

 原発に反対する意見を表明するのは構いませんが、事実に基づかない作話によって自説の論拠とするという卑劣な行為はぜひおやめ頂きたいです。これが福島で実際に生活されている方々や福島県の農産物や水産物に対する不当な差別を生み出すことについても、リベラル派を自認するなら思いを致すべきでしょう。それができないところに、イデオロギー派の人たちの悲しい陥穽があります。そんなことを改めて感じた記事でした。


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コメント

1. いいね!をありがとうございます。

美味しんぼ・・・・昔は結構面白かったんですけどね。~~

何だか作者の思想をゴリゴリ押し付けてくるところと、凄い美味しいというお店や食材をいくつか試したけれど、ガッカリが続いたのでもう読んでいませんね。

2. 無題

すっかりtwitterで話題になっています。
美味しんぼはアニメや漫画で親しんできた作品なのでガッカリです。
まだまだ世間一般には無知からくる放射能恐怖症の人たちが多いので、作品が風説の流布、不安感を煽ることになったと思います。
しかし以前より原子力発電、放射線知識を理解した人たちも増えてきていることも感じられます。
私も原発事故直後は恐怖症だったので余り批判できる立場にないと恥じ入るところです。
小野先生、高田先生に感謝しているところです。

3. Re:いいね!をありがとうございます。

>丸一 高志さん
まさにその通りで、自分が正しいと思うことをごり押ししてくる姿勢に不愉快さを感じ、私からすれば「あの店が…」と思うところを持ち上げたりで、内なる自分の判断と照らした時にどうも合わないなと私も感じました。

4. Re:無題

>グラースさん
こういう事実に基づかない話をさも本当のことのように語るのは、絶対に許してはならないことだと思います。
原子力に関する知識は、私も事故が起こってから徐々に増えたたちです。多くの方がそうではないでしょうか。

5. お初です♪

早速記事読ませてもらいました(´∀`)
たまたまこのブログにたどり着きました!
また、覗きにに来ますねヽ(・∀・)ノ

6. 日本にしかない表現

放射脳、放射線恐怖。
電力会社を批判するな、東北の農産物差別。

皆が一様に同じ症状が出るとは限らないにしろ、放射能被害は逃れられません。なぜ原発推進のままなのか、考えさせられます。島国、地震大国の日本、他国からみればあり得ない状況であることは今も昔も変わりないよいですが。

7. Re:日本にしかない表現

>MGBさん
放射線被害について、誤解されているのではないかと思います。年間100ミリシーベルトの被曝を受けた場合に発生するリスクは、一生涯でがんにかかる確率が2%程度増えるのではないか、というものです。毎日晩酌している人の方が発癌の確率は高くなります。この状態で、年間1ミリシーベルト以下、つまりガンの発症確率が高まることが確認された被爆量の1/100に被爆量が抑えられていても、漏れがなかった状態よりも多いからダメだというのは、科学の世界の話ではないと思います。一度に大量の放射線を浴びた場合と、低線量の放射線を浴びた場合では、話が全く違うということを理解しておくべきだと思います。

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