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米韓 FTA から TPP を考える2

 今回は米韓 FTA において投資がどう扱われているのかを見ていきます。
 
 投資の分野について、USTR(アメリカ通商代表部)が発表している Summary of the U.S.-Korea FTA では、Important New Protections for U.S. Investors (アメリカの投資家に対する、重要で新たな保護処置)というのが見出しとして出ています。その上で、以下のようなことが書かれています。

 All forms of investment will be protected under the agreement (あらゆる形態の投資はこの協定のもとで保護されることになる)

 With very few exceptions, U.S. investors will be treated as well as Korean investors(ほぼ例外なく、アメリカの投資家は韓国の投資家と同じ扱いを受けることになる)

 The investor protections are backed by a transparent, binding international arbitration mechanism, under which investors may, at their own initiative, bring claims against a government for an alleged breach of the provisions of the Chapter.(投資家保護は、透明性があって強制力のある国際的な仲裁メカニズムによって保護される。この仲裁メカニズムのもとで、投資家は条文に違反しているとの訴えを、政府を相手に率先して提起してよい。)

 アメリカの投資家は韓国の投資家と事実上同一の立場でどんな投資活動を行うこともできるとされているわけです。そして投資活動の自由を妨げられたと投資家が判断した際には、韓国の国内の裁判所ではなく、世界銀行傘下の国際投資紛争仲裁センターなどを利用して裁判が行われるということになります。なお、世界銀行の総裁をアメリカの大統領が任命していることからもわかるように、世界銀行は極めてアメリカに近い機関であることは、頭に置いておくべきではないかと思います。(これについては後日 NAFTA についての記事を書いたときに、もう少し書きたいと思います。)

 さて、自由な投資というと聞こえがいいのですが、それはまた自由な投機をも意味します。例えば、不動産が儲かると見れば、不動産に資金が集中し、やばいと見れば一気に資金が逃げていくということが起こりえます。つまり、こうした移動性の高い資金は国内経済の安定を損ない、多大な犠牲を強いることがあるわけです。

 特にこのお金が外国資本によるもので、国外にも自由に流出できるものであるとすれば、国内経済に与える打撃は甚大です。今の韓国経済はギリシャよりも深刻なものだと指摘されることもありますが、これは韓国経済がすでに欧米の自由な投資を非常に高いレベルで受け入れていて、ユーロ危機が広がる中で、資金の引き上げが行われているからです。「日韓通貨スワップが700億ドル(日本円換算で5兆円)規模にまで拡大」という報道がありましたが、日本がここまで資金供給して韓国を支えていかないとやっていけないほど、韓国内からの資金流出が続いているということも、知っておいた方がよいかと思います。

 さて、この章の最後を締めくくるところに、This preambular language does not impose any obligations on the United States or Korea beyond those set forth in the substantive provisions of the agreement.(この協定の前文に記されていることは、協定の実際の規定に盛り込まれた義務以上の義務を、アメリカにも韓国にも課すものではない)との文言も見えますが、アメリカの投資家に韓国の内国民と同じ地位と自由さを保証していることからすると、実質的な意味はほとんどないように、私には感じられます。
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