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4〜6月期の実質GDPは実際にはー15%程度と考えた方がよい


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 今回は遅ればせながら、4~6月期の実質GDPが、前期比で年率-6.8%と大幅な落ち込みになったことについて取り上げます。

 今回の発表についての私の印象は、-6.8%という見かけの数字よりも実態はかなり悪いのではないかということです。-15%程度だと考えた方が現実に適合すると私は考えています。随分大げさなことを言っているなと思われるかもしれませんが、私の考え方も1つの考え方としてみてみてください。

 まず、以下の表をご覧下さい。無駄なくよくまとめてくださっている表だと思います。


「彩(いろどり)‐経済コラム」(http://ecolumn1967.blog.fc2.com/blog-entry-327.html)より画像引用

 住宅投資の-35.3%は、もともと必要となる金額が大きい故に、駆け込み需要の反動としては別段驚くほどでもないとは思いますが、個人消費が-18.7%というのはかなり驚愕の数字ではないかと思います。個人消費というのは、日常の食料品費とか光熱費とか通信交通費とか医療費とかといったものから成り立っているわけですが、いずれにしてもそんなに削れるものではないでしょう。娯楽費とか被服費とか家具・家電の購入費といったものはある程度切り詰められるかもしれませんが、もともと個人消費の中でこれらが占める割合は17%程度ですから、この17%を4割程度カットして10%程度まで下げたとしても、個人消費の落ち込みは7%程度にとどまるわけです。増税後の価格の上昇を実感する中で、消費者がこれまで通りでは生活していけないということを実感して、大幅な消費の手控えが幅広い分野で進んだ結果がこの結果なのだということを、冷静に見ておいた方がよいかと思います。そしてこのことから、駆け込み需要の反動として一時的な落ち込みを見せたというだけにとどまらず、この影響は今後も広く影響していくと考えるべきでしょう。

 日本のGDPの6割を占める個人消費が-18.7%と大きな落ち込みを見せたのに、見かけの数字は-6.8%と比較的軽微になっているのはなぜでしょうか。表の在庫投資のところを見ると3.9%という数字が、純輸出のところを見ると4.4%という数字が書かれているのがわかるかと思います。この2つの数字はちょっと特別でして、在庫投資が前期比年率3.9%増えたとか、純輸出が年率4.4%増えたという意味ではありません。表の欄外に「在庫投資、純輸出は年率寄与度」と書かれているのがわかりますね。この2つは年率のGDPにどの程度影響を与えたかを書いている数字だということになります。ややわかりにくいと思うのですが、要するにこの2つでGDPが合計8.3%引き上げられているということを意味します。(3.9%+4.4%=8.3%)これは裏返せば、もしこの2つが前期比で変化していなかったとしたら、日本のGDPは8.3%分低下するということ、すなわち今期のGDPの落ち幅は-15.1%に達しているということを意味します。(6.8%+8.3%=15.1%)

 さて、在庫投資が増えているというのは、単純に在庫が増えているということを意味します。売れ行きが好調であるからもっと在庫を厚めにしておきたいというのであれば、それは望ましい在庫投資だということになりますが、売れ残りが大量に発生して在庫が増えてしまったというケースも当然考えられます。そして今期のGDPの個人消費の大幅な落ち込みからすれば、この売れ残りの大量発生による在庫の増加が見られたということがわかるはずです。この在庫の増加がGDPを3.9%も押し上げているということを考えた時に、実質的な意味合いとしてはこの部分を削って経済成長を考えた方がいいということになるはずです。

 純輸出の4.4%増というのも、手放しで喜べるものではありません。純輸出というのは「輸出ー輸入」で表され、純輸出が増えたという場合でも輸出が増えたとは限りません。輸入が減ったから純輸出が増えたということもありえるわけです。実際、表を見ますと輸出は-1.8%で、実際には減っているわけです。輸入が-20.5%とあまりに大幅なマイナスだったので、結果的に純輸出が増加したということにすぎないのです。国内消費が急激に落ち込んで、それに伴い輸入も大幅に落ち込んだから、結果として数字としては純輸出が伸びたということにすぎません。日本の経済力が強くなって輸出が伸びてGDPが増えたというのとは、随分様相が異なるわけです。つまり、輸出に関わる国内経済力が伸びたとは全く言えないということです。その伸びは実質ゼロどころか、輸出が減っていることからすればマイナスで評価されるべきではないかと思うほどです。

 そして以上をまとめるとさらにショックな構造が見えてきます。個人消費の急減によって在庫が大幅に余るような事態になっているのに、余った在庫を輸出に回していくということができなくなっているのです。海外市場の景気動向も決して良好とはいえないということも影を落としているでしょうが、日本の輸出産業力自体が衰えていることを示唆しているともいえます。

 以上の議論を踏まえた場合に、私が今回の統計から在庫投資と純輸出のGDPの寄与度を否定して、今期のGDPの落ち幅を-15%程度というように表現した理由がわかるでしょう。

 緊縮財政路線を取り始めてから、政府純債務対GDP比の悪化スピードが急激に上がりました。緊縮財政を進めると却って財政悪化が進むというマクロ経済の現実を正確に捉えて、経済の進めるべき方向を抜本的に改めるべきだというのが私の考えです。

 従って来年4月からの10%への消費増税には断固反対であるだけでなく、むしろ消費税減税ないし廃止すらまじめに考えた方がよいのではないかと、私は思っています。


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