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自由貿易万能論を批判する(1)


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 自由貿易になりさえすればみんなハッピーなんて、そんな単純なことが現実のわけがないのですが、そんなことを思っている人たちが世の中の多数派を占めているように思います。少なくとも国を動かす影響力を行使できる層ではそのような考え方が主流派となっていると言ってよいでしょう。

 これから数回にわたって、そうした単純自由貿易万能論を容易に否定できる事例を挙げていきたいと思います。今回はアメリカの農業のことを取り上げながら、考えてみたいと思います。

 米国の中西部はもともとは乾燥地帯ですが、ここにはグレートプレーンズと呼ばれる大穀倉地帯が形成されているのは皆さんもよくご存知だと思います。降雨量の少ないこんなところが大穀倉地帯になっていることには、1つのカラクリがあります。実はこのあたりにはオガララ帯水層と呼ばれる膨大な地下水層があり、この水を農業に利用しているのです。氷河期時代に貯め込まれたこの地下水層は日本の国土面積を上回る広さを持っていますが、年々利用されるに従って水量は当然低減しており、あと20年ほどで枯渇すると考えられています。汲み上げられた水が何らかの手段で補充される仕組みがあればよいのでしょうが、そんなものは全くなく、「後は野となれ、山となれ」で農業が行われています。余計なコストをかけずに自然を収奪するだけで運営でき、しかも大規模農業であるので、価格競争力の高い農業が実現できているわけです。

 さて、このような農業と日本の農業が自由競争を行ったら、当然日本の農業は立ち行かなくなるのは自明でしょう。日本は非効率な農業を捨てて、得意な工業分野に産業力を集約すればよいとの考えが当たり前のように語られていますが、20年後には我々はアメリカから食料を買えなくなる可能性がかなり高いことを忘れるべきではないと私は思います。

 しかも、これは何もアメリカに限った話ではありません。ブラジルにせよ、ロシアにせよ、オーストラリアにせよ、世界を支える大規模穀倉地帯では実は同様のことが進行しており、世界的な食料問題が近い将来発生することは現実問題として考えなければならないのではないでしょうか。目先の経済効率性と価格競争力に従って勝者と敗者を決め、敗者には市場から退出してもらって得意分野に移ってもらえばよいという考えが一般的ですが、この考えに基づいて自由貿易を押し進めると日本という国家が立ち行かなくなる危険性があることを、真面目に考えておかねばならないのではないというのが、私の考えです。


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