記事一覧

自由貿易万能論を批判する(3)


人気ブログランキングへ

 イギリスとインドとの貿易においては、手工業ではあったものの、綿織物の分野ではかつてはインドの方がずっと生産性が高かったということはご存知でしょうか。安くて高品質なインド産の綿織物(キャラコ)がイギリスに大量に入ってきたために、イギリス国内の絹織物業者や毛織物業者は大変な苦境に陥ったのです。(当時、イギリスにはまだ綿織物業者が存在していなかったようです。)イギリスの織物工業を守り抜くために、イギリスは1700年には「キャラコ輸入禁止法」を、さらに1720年には「キャラコ使用禁止法」を制定しました。イギリス以外の国に向けられる大切な輸出商品として植民地インドのキャラコを確保しつつも、自国の産業保護のためにはキャラコの輸入を禁止したわけです。そしてこのような保護主義のもとでインド産木綿に対抗するための技術開発を進め、ついにインド産木綿をコスト面でも品質でも凌駕できるシステムを構築していったわけです。

 イギリスの産業革命というと、資本の本源的蓄積に基づいて自然と展開していったイメージでよく語られていますが、実際には国家の保護産業政策によって育成されていった側面も強いわけです。そしてこのような過程を経て強大な競争力を手にしたからこそ、自らの競争力を活かすために、自由貿易が正しいということを主張し始めたというのが実際の流れです。

 英印貿易においてもこの段階になってから自由貿易が進められ、インドのキャラコ業者を次々と壊滅させていきました。工業力を奪われたインドはこの後、綿花やアヘンという一次産品の供給基地へと転落していきました。

 ここで私は「イギリスは汚い!」となじりたいわけではありません。イギリスが自国の健全な発展を考えた場合に、キャラコの流入に対抗する策を考えたのは当然のことだったと思います。それがなければ、イギリスが自立的な工業国になるということにはかなりの困難があったでしょう。ただ、そのような策を考えて講じるのは、どの国においても平等に保証されるべきではないかと思うわけです。そのために保護主義を採用する国があるのは、至極当然のことでしょう。

 確かに一カ所に生産拠点が集約されれば、生産の効率性は間違いなく上がります。より安価により大量のものを効率的に作り出せるようになるというのは否定できないところです。そこに経済的なメリットが存在しないかといえば、当然存在するに決まっています。

 しかしその一方で、この経済的メリットが、他国の産業を踏みつぶし、他国の健全な発展を奪うという圧倒的な犠牲を果たして上回るのかといえば、これはかなり疑問符がつくところではないでしょうか。乱暴な貿易自由化論というのは明らかな勝ち組の立場がそのメリットを大きくするための方便であると、私は考えます。


人気ブログランキングへ
スポンサーサイト

コメント

1. 無題

イギリスかっこいいですね

自国の利益、産業を守る為に、規制強化

↑このサンプルを、低脳アベ政権に言ったら、どう反応するでしょうか?

間違いを許容する日本国民もカスですね


2. Re:無題

>鼻毛《アベ不支持会員No.2》さん

日本もかつては米ビッグ3から自国の自動車産業を保護・育成するために、40%もの高関税を課していたんですよね。それがなければ日本の自動車産業は発展できなかったでしょう。
「自由貿易」の大合唱を行っている人たちはこの事実をどう見るのか、興味深いです。

3. お邪魔します♪

ペタの代わりにコメント残しておきますね♪僕も結構ためになりそうな事を書いてるので読んでみてください♪またお邪魔しにくるのでよろしくお願いします♪

4. (*´ω`*)初めましてこんにちは!

真剣に記事拝見させてもらいました!記事の書き方など参考にさせて頂きます☆更新の際はまた遊びにこさせて頂きます♪

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

朝香豊AY

Author:朝香豊AY
FC2ブログへようこそ!