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北海道電力の値上げは安易なものでは断じてない!


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 北海道電力に対して政府が15.33%の電気料金の値上げを認めたことに対して、地元の北海道新聞は「北海道民、北電に厳しい目 「再値上げ幅圧縮を」「努力足りぬ」」と題する記事を掲載しました。ネットで無料で読めるのは記事の一部だけのようですが、その部分だけでもここに引用することにします。

 北海道電力が申請した家庭向け電気料金の再値上げ幅が固まった10日、北電は会見で激変緩和策などを示して理解を求めたが、昨秋の値上げ前と比べると2割を超す大幅な負担増で、道民からは「もっと値上げ幅を抑えられないのか」と不満の声が相次いでいる。経営努力が明確に見えず、原発頼みを崩さない北電の姿勢も反発を生んでいる。
 「お客さまに負担をおかけして申し訳ない」。酒井修副社長は北電本店で開かれた記者会見で陳謝を繰り返したが、役員報酬の削減額など経営合理化の具体像を示さず、経営責任については「(原発を再稼働して)経営を元の状況に戻し、電気料金をできるだけ早く値下げしていくということに尽きる」と言い切った。
 北電は来年3月まで家庭向けを2・90ポイント圧縮する激変緩和策を「目いっぱい」とするが、道民の視線は厳しい。「もう少し圧縮できるのでは」と疑問視する十勝管内音更町の農業勝野弘行さん(52)は、野菜を栽培するハウス内の散水に電気を使うため、「売り上げが伸びる状況になく、コストが膨らめば所得は減る」と嘆く。
 旭川市の主婦(65)も「ひと冬だけでは焼け石に水。うちの節電策はもうお手上げですが、北電は経営努力をしているのか」と不信感をあらわにした。
 酒井副社長は「営業運転に復帰すれば料金値下げを行いたい」と、あらためて泊原発(後志管内泊村)の再稼働と値上げの二者択一を迫った。夫婦2人で年金生活を送る函館市の無職武下秀雄さん(74)は、青森県で建設中の大間原発の対岸に住むだけに、「電気料金は安くしてほしいが、安易に動かしてとも言い難い」と打ち明ける。


 明確な主張こそしていませんが、北海道電力の経営努力がまだまだであるのに、泊原発の再稼働を行わないと大幅な値上げをするしかないと道民を脅すようなやり方に出ているんじゃないかとの印象を与えていく記事を、北海道新聞は書いています。これは果たして本当でしょうか。

 北海道電力が泊原発の停止分を停止させていた火力発電を動かすことで賄おうとする場合、その火力発電は旧式の石油火力に頼る割合が圧倒的に高くならざるをえません。そこで泊原発の停止分をすべて石油火力で置き換えているという前提で、どのくらいコストが変わるのかを単純計算してみましょう。(といっても、計算は日経ビジネス(2014年3月5日)がおこなったものをなぞるもので、私のオリジナルではありません。)

 発電コストは本来は、発電所の建設に関わる費用、メンテナンスに関わる費用、運用停止後の解体に関わる費用などを含めて計算すべきですが、泊原発はすでに建築済みで、運転停止を行っていても原子力発電にはメンテナンスに関わる費用は常に発生し、運転を停止しているから解体の費用がかからなくなるということもありませんから、単純に燃料代にのみ着目して計算をすることにします。

 日経ビジネスによると、石油火力の燃料費は1kwhあたり16.31円であるのに対して、原子力の燃料費は1kwhあたり0.57円であるそうです。これに基づき1kwhあたりのその差額を計算すると、15.74円(16.31円ー0.57円)となります。北海道電力がもともと目論んでいた原子力発電所の設備稼働率は59%で、原発での年間発電量は107億kwhでした。この107億kwhをすべて原子力ではなく石油火力によって賄おうとすると、1684億円のコスト増(107億×15.74円)が発生します。

 このコスト増は販売電力1kwhあたりいくらになるでしょうか。今期の北海道電力が販売計画電力量が316億kwhですので、1kwhあたりは5.33円(1684億円÷316億kwh)となるはずです。原子力発電所の設備稼働率が59%とした当初の計画での販売予定原価が19.01円でしたから、原発の完全停止させた場合には24.34円(19.01円+5.33円)としないと、当初計画通りの売り上げ高は期待できないことになります。そうすると、当初の販売予定原価に対して28%の値上げ(5.33円÷19.01円)をしないと、健全な経営ができないことになるわけです。

 北海道電力の平成24年3月期の連結決算での当期損失は720億円、平成25年3月期の連結決算では1328億円、平成26年3月期の連結決算では630億円となっており、これに伴い震災前に25%ほどあった自己資本比率も連結で7.6%、単独で5.4%にまで急激に悪化しました。

 電力各社の自己資本比率の推移をご覧下さい。太い赤線が北海道電力のものです。いかに電力会社の経営が厳しいものとなっているかがわかるでしょう。

(図は日経ビジネスオンラインから引用)

 債務超過が目前に迫る中でも北海道電力の今回の値上げは本来望まれる28%を大幅に下回る15.33%にとどまり、実はこれでも十分な収益回復には至らないのが実際のところだと思われます。健全な経営基盤を完全に失うまで苦しんでいる北海道電力に対して、「まだまだ経営努力が足りない」などとどうして言えるのでしょうか。そもそも燃料代のコストがこれほど大きい中では、この差額を埋める経営努力には自ずと限界があります。

 北海道新聞はこうした北海道電力の経営環境を理解した上で記事を書いているのでしょうか。そんなわけはありません。原発反対の世論を高めるのが正義であるとの立場から、ろくに取材も行わないで安直な印象操作を行う記事を書き上げた疑いが濃厚です。

 批判的な目を向けて取材をするということが必要であるのは当然ですが、それは一見正しく見えていることが本当に正しいのかどうかがわからないから、真実を明らかにしていく上では疑ってかかるべきという意味のはずです。ところが日本のマスコミでは、マスコミ自身が悪者だと判断した対象を、事実がどうかという点とは関わらないで批判することがまかり通っています。こういうのは本来の批判とは明らかに筋違いのはずです。そしてこの安易な「批判」を行うことで自分が正義の味方になったかのような錯覚を抱くことが快感となった典型例が、朝日新聞の従軍慰安婦報道や福島第一原発報道につながっているのだと考えます。

 プロの立場で報道するなら、プロの立場でしっかりとした取材を行うべきですが、そのような基本的なことが全くできていないのが日本の主要マスコミの実態だということが、この北海道新聞の記事からも伺えると考えます。


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