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『日本人の知らない「クレムリンメソッド」 世界を動かす11の原理』を読もう!


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 『日本人の知らない「クレムリンメソッド」 世界を動かす11の原理』(北野幸伯著 集英社インターナショナル)を読みました。この本は繰り返し読む価値のある本だというのが、私の結論です。



 北野氏というと、『ロシア政治経済ジャーナル』というメルマガが頭に浮かぶ人も多いかと思います。私もこのメルマガの読者であり、この本に書かれていることは読者にしてみれば見覚えのあることばかりともいえます。しかしながら、その話の構成はメルマガとは真逆ではないかというのが私の印象です。

 北野氏がメルマガで記事を書く場合には、ここに載せられている原理をいくつか組み合わせて、世界で発生した具体的な問題の1つ1つの動きがどうなっているのかを解説する手法を取っています。メルマガではあくまでも焦点は個別の具体的な問題がどう動いて行くかに当てられていて、原理の1つ1つにはあまり重要性を置いているわけではありません。ところがこの本は、原理そのものに焦点を置き、それぞれの原理を説明するのに適したものを世界で発生している多くの具体的な問題から拾い上げている感じです。単純に図式化すれば、メルマガでは 諸原理→1つの世界の動き(焦点は「1つの世界の動き」の方)であるのに対して、この本では 様々な世界の動き→1つの原理(焦点は「1つの原理」の方)となっています。原理そのものに意識を向けることで、考え方・捉え方自体を意識的に鍛えるようにしようというのがこの本の狙いです。

 この本はタイトルに「クレムリンメソッド」と書かれていますが、決してロシアの支配層だけが使っている特別なメソッドというわけではありません。アメリカの支配層にせよ中国の支配層にせよ、同様の思考を当然行っていると言っていいものです。明確にリアリズムで世界を見る見方を教えてくれている、そんな感じの本です。

 北野氏の基本的な立ち位置をまとめると、「動いている現実をあるがままに見よう。その際に何を発言したかよりもどう行動したかに着目しよう。善悪の価値判断も一旦脇に置こう。」という感じかと思います。そしてこの立ち位置にしっかりと立つと11個の原理が見えてくるよというのが、この本の基本的な構成です。

 この本は既にリアリズムに基づいたものの見方をしている人にとっても思考を整理するという上で重要だと思いますが、全くこういう考え方をしたことがなかった人にも受け入れやすいわかりやすさがあると思います。この本は決してロシアを擁護しているわけでも、アメリカを擁護しているわけでも、中国を擁護しているわけでもありません。身も蓋もなくリアルな現実をつまみ出す基本的な原理を整理してくれているものだといえばよいでしょうか。

 読みやすい本ですのでスイスイと読んでいけてしまいますが、今はどの原理について説明してくれているのかを意識化することで、内容理解の深まりが随分違うことになるように思います。ぜひお勧めしたい本です。


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