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世界を動かしているもの

戦後の日本はアメリカの保護のおかげで復活ができ、アメリカのおかげで経済成長もできたのだから、アメリカには感謝しなければならないと思っている方も、かなり多くいるのではないかと思います。

しかし、実際にはもっと冷徹なリアリズムのもとに日本は置かれていたということを、私たちは知っておくべきだと思います。

1945年9月2日は日本が戦艦ミズーリ号の上で降伏文書に署名した日ですが、この9月2日に、米軍のマーシャル少将から日本の鈴木公使に対して、明朝10時に3か条の布告を行うから、公表の手続きを至急とるようにといわれました。その3か条とは、1)日本全土を米軍の管理下に置き、公用語は英語とする 2)米軍に対する違反は米国の軍事裁判で処罰する 3)米国の軍票を法定通貨とする というものでした。

お金は米軍の軍票、裁判の管轄権は米軍、公用語は英語というわけですから、日本の実情など完全に無視した米軍の完全独裁です。しかも、この段階ですでに軍票は3億円分すでに印刷は完了して部隊への配布も完了していたといいますから、その用意周到さには舌を巻きます。

これに対して重光葵は、翌朝早くにマッカーサーを待ち伏せして、この処置がポツダム宣言に違反していることを突き、そのような統治が米国のためにもならないことを説明することで説得し、何とか撤回させることに成功しました。ですが、アメリカが日本と対話的な姿勢を持っていたと考えるのは早計です。実際トルーマン大統領が回顧録で「我々は勝利者であり、日本は敗北者である。彼らは無条件降伏は交渉するものではないと知らねばならない」と書いているほど、日本に対するアメリカの態度は苛烈なものでした。

終戦直後の情景として頭に浮かびやすいものの中に、日本の子供達が「ギブミー・チョコレート」と言ってアメリカの兵隊に群がっていくというものがありますね。ところで、あのチョコレートの費用は日本政府の予算から出ていたものだということを、みなさんはご存知でしょうか。

終戦直後の日本は、当然財政的にも非常に厳しい環境下にあったことは想像がつくかと思いますが、米軍駐留経費は、1946年が国家予算の32%にあたる379億円、1947年も国家予算の31%にあたる641億円も占めていました。この中からチョコレートの費用も捻出されていたのです。食うや食わずの状態にある日本の国家予算の約1/3が、豊かなアメリカ人たちのために使われていたのです。

別の例も挙げておきましょう。1945年9月22日に発表された「降伏後ニ於ケル米国ノ初期ノ対日方針」においては、「天皇及日本国政府ノ権限ハ、降伏条項ヲ実施シ、カツ日本国ノ占領及管理ノ施行ノ為樹立セラレタル政策ヲ実行スル為、必要ナル一切ノ権力ヲ有スル最高司令官ニ従属スルモノトス」という方針が出されました。要するに、天皇陛下も日本国政府も、マッカーサーに従属する存在でしかないということです。その上で、具体的には、「日本軍事力ノ現存(している)経済基礎ハ破壊セラレ、カツ再興ヲ許与セラレザルヲ要ス」とし、「日本国ノ現存(している)生産施設ノ終局的処分ニ関シ、用途転換,外国ヘノ搬出,又ハ屑鉄化ノ何レトスベキヤハ、明細表に基キテ決定セラルベシ」との方針が打ち出されました。日本の経済力・工業力を復活させないどころか、残った設備すらさらに削ってやろうと考えていたわけです。

1945年11月には、ポーレーを団長とする米賠償調査団が来日しました。ポーレーは「日本経済を最小限に維持するのに必要でないものは日本から取り除く」という方針を打ち出し、「最小限というのは、アジアの諸国の民衆の生活水準よりも高くなることは許されないという意味だ」という説明を加えています。

財閥解体などの、経済の「民主化」の方針は、民主主義こそが大切だというアメリカの価値観を反映したものなどではなく、日本を弱体・解体化するためのものだったと考えるべきです。GHQは日本の新聞・雑誌・書籍の事前検閲を実施し、個人が差し出す封書に関しても年間何千万通という規模で開封・翻訳を行い、しかもそのような言論統制を行っていること自体を明らかにさせませんでした。むしろ、民主主義を徹底的に封じることを実践していたわけです。

やや話が逸れましたが、このように「日本を二度と立ち上がれないように徹底的に叩きつぶす」というのが、アメリカの当初の対日方針だったのですが、ところが1948年の年初にこの方針が突然変更されました。これは、日本の政治家が米国との粘り強い交渉を積み重ねた結果でもなければ、日本人が信頼に足るとアメリカが見直した結果でもなければ、日本を虐めすぎたとアメリカが反省した結果でもありません。

よく言われる言い方で言えば、「日本を反共の砦にする」という方針に変更したからということになりますが、この「反共の砦」というのが具体的に何を意味しているか、おわかりになるでしょうか。日本を徹底的叩きつぶすより、米ソの対立が厳しさを増す中で、すぐに回復の見込める日本の経済力・工業力を復活させ、アメリカ陣営(資本主義陣営)の強化のために利用する方が得策だと、アメリカが考えたということなのです。

私が言いたいのは、アメリカは不誠実であり、信用が置けないから付き合うなということではありません。対中関係などを考えても、アメリカとの関係を軽視してよい状態には全くないわけですし、進んで喧嘩を売るようなことは、当然やるべきことではありません。

私が言いたいのは、多くの日本人が考えているのとは違い、国家間の「友好」というのは、「情」などによって規定されているものではなく、それぞれの国家の国益によって規定されているものだということです。日本にとって最高の友好国ともいえるアメリカにしてもそうなのだということを、このような歴史を学ぶことで、確認しておくべきではないかということです。

世界の国々はみな公共善を目指しているのだが、ただそれに至る道筋についての考え方に違いがあることからすれ違いが起こっている、というような捉え方をよく見かけますが、世界がそんな性善的な存在であるはずがありません。世界の国々は、特に大国と呼ばれる国は、自国の国益(あるいは自国の支配層の利益)を最大化することを、ためらいなく目指して動いて行くものなわけです。

日頃から我が国がどれほど友好・親善に努力しようとも、各国がおのおのの国益を優先して行動する以上、他国の善意など当てになるものではありません。その意味では、世界はみんな腹黒いものです。

だから日本も腹黒く生きていくべきだとまでは私は思いませんが、しかしながら、日本以外の国はほとんどが腹黒い国ばかりだというリアリズムへの対応を念頭に置かないと、国の方針を誤ると思うのです。

現在領土問題などを巡って、中国とも韓国とも、我が国は大変険悪な状態に陥っていますが、コミュニケーション不足とか感情のもつれなどに原因を求めるマスコミの論調は明らかに間違いです。そしてこのマスコミによるミスリードは、当然我が国の国益を大きく損ねる役割を果たすものです。

マスコミ関係者にしても生活の基盤は大切でしょうが、もはやそんなことは言っていられないところにまで日本が追いつめられている現実にしっかりと向き合って対応することこそ、マスコミ人の使命ではないのかと、思わずにいられないのです。
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