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「沈みゆく大国 アメリカ」が示す、アメリカの医療崩壊の実際


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 堤未果氏の近著「沈みゆく大国 アメリカ」を読みました。この本は主としてオバマケアについて書かれています。



 激しい抵抗に遭いながらもオバマケアは実現され、ついにアメリカも国民皆保険が成立したというのが日本での一般的な捉え方ではないかと思いますが、内実はそんなものではないということが、この本では描かれています。

 200ページ以上ある本書の内容を簡単に要約することはできませんが、単純に言えば、製薬会社と保険会社の利益を損なわないように設計されているため、その歪みが結局貧しく弱い庶民にしわ寄せされているのが実際であるということになるかと思います。

 私たちからすれば、従来民間保険には受け付けてもらえなかった人たちにオバマケアという新たな保険が登場することで、無保険によるリスクがなくなったと考えるのが普通の考え方だと思います。ところが、病院によってどの保険を取り扱うかは自由に決定できるため、利益の見込めないオバマケアの保険を取り扱う病院は実はかなり少数派になっています。つまり、実際に病気なって病院に行かなければならなくなった時に、実は診察してくれる病院が近隣にはないということが普通にあるわけです。遠くても診察してくれる病院があるなら、そこに行けばよいと単純に考えてしまいますが、そういう病院は需要と供給の関係を考えればわかるように、診察してもらいたい時に診察してもらえるわけではなく、診察まで数ヶ月待ちといったことが当たり前のようになっています。しかも保険によって使える薬に制限があり、効果の高い薬はオバマケアのような貧困層向けの保険では適応対象外となっているわけです。

 週30時間を超えて雇用する場合に事業者に保険加入を義務づけた結果として、多くの労働者が週29時間以下の勤務に減らされるという事態も発生しています。アメリカで失業率が減っている背景には、こうしたカラクリもあるようです。つまり、一人一人が働く時間数が削減され、その分多くの人が働けるようになっているというわけです。

 こんな例だけでは語り尽くせない様々な問題がこの本では取り上げられています。そして、このアメリカの姿に今日本も近づこうとしていることに、私たちは警戒心を持つべきでしょう。

 よく混合診療の解禁に関して、「アメリカではすでに高い効果が認められている薬が、日本の認証手続きが遅いことによって、日本では使えないというのは問題だ」といった議論がありますが、人の命というものが経済力の違いによって露骨に差別されるアメリカ型の社会を私たちは本当に目指していくべきなのかは、私たちの幸福感と直結する話として、冷静に議論に付すべきものだと私は思います。

 今後の日本が向かっている先がどうなっているのかを知るために、本書を読むことをお勧めします。


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