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トリクルダウンを否定するOECD報告書


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 「先進国クラブ」とも呼ばれることもある OECD(経済協力開発機構)が、収入面での不平等が経済成長を抑制するという報告書を発表したという話が、今月(2014年12月)の初旬にありました。本日この報告書を見つけましたので、読んでみました。A4版4ページの報告書で、分量としては大したことはありませんし、英語もかなりわかりやすいので、よければ実物をご覧下さい。
http://www.oecd.org/els/soc/Focus-Inequality-and-Growth-2014.pdf

 この報告書を読む上であらかじめ知っておきたい知識として、「ジニ係数」(Gini coefficients)というものがあります。これは不平等の程度を測る指数でして、0に近づくほど平等で、1に近づくほど不平等だとされています。0.2~0.3であればほとんど問題はないレベルですが、0.3を超えると不平等が目立つようになり、0.4を超えると社会が不安定化し、0.5を超えると格差が限度を超える危険領域だとされています。OECD諸国は1985年段階と比べるとどの国もほぼ例外なくジニ係数が上昇しており、我が日本も0.3程度から0.35程度までかなり不平等が拡大していることがわかります。

 OECDによれば、ここ25年間の格差の拡大がもしなければ、GDPは今よりも8.5パーセント高くなっているとのことです。そして経済成長の押し下げ要因は最貧の10%だけでなく下位40%にまで見られるとし、ここまでカバーできる所得の再分配政策が求められると主張しています。また、OECDは収入の格差によって子どもの学力に顕著な差が出るところに特に注目しています。

 OECDは結論として、単純な所得再分配も必要だが、それだけでは不十分で、高品質の教育や公衆衛生などの公共サービスを充実させて、貧困層でもこうしたサービスを富裕層同様に受けられるようにすることを求め、特に子どものいる家庭に対する手厚いサービスが重要だとの認識を示しています。

 さて、アベノミクスはこの方向に果たして進んでいるのでしょうか。経済財政諮問会議の議論を見る限りでは、今なお逆方向に向かおうとしているように感じます。それが実に残念です。

 この詳細はまた別の機会に論じたいと思います。


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