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朝日新聞は人民日報なのか?


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 「AIIBでアジア共栄の正論を謳い上げた中国 軍事同盟の強化追求する日米に理はあるか」・・・さすがに我が目を疑いました。この見出しが中国の人民日報が載せた記事ならわからなくもありません。しかし、この論説記事を掲載したのは、人民日報ではなく、日本の朝日新聞なのです。
http://webronza.asahi.com/business/articles/2015041600001.html

 この見出しに込められたメッセージはどのようなものでしょうか。AIIBによってアジアの平和と繁栄を築こうとする中国と、それに対して軍事同盟の強化で対抗しようとする日米というイメージでしょう。つまり中国を善玉としながら、日米を悪玉として描いているわけです。読者にそのような印象を与えるように意図された見出しだといえるでしょう。

 実際の記事の本文も悪意に満ちています。記事の冒頭は次のようになっています。

 中国が設立を主導したアジアインフラ投資銀行(AIIB)には、2015年4月半ばの段階では、57カ国が創設メンバーとなった。東アジア・東南アジアで参画を見送ったのは、日本と北朝鮮だけとなった。日本は、米国と一緒になって(米国の指示で?)、米国の「同盟諸国」、関係諸国などに、同行に参画しないように政治的な圧力をかけていたという。

 記事には正確さが求められるはずです。日本はAIIBへの参画を見送りましたが、北朝鮮は見送ったのではなく、中国から参画を拒絶されたわけです。そこには複雑な中朝関係が絡んでいますが、その話は脇に置いておきましょう。詳しい事情を知らない読者に対して、AIIBに対して参画を見送る判断を行った日本の判断は、あの北朝鮮と同列の判断であるかのような印象を持たせたい書き方だと言われても仕方ないでしょう。

 また、日米が行ったとされる「政治的な圧力」とは具体的にどのようなものなのでしょうか。日米が連携するアジア開発銀行(ADB)が既にあり、これが中国の意のままに動く銀行でないからAIIBを作りたいというのが中国の意向です。ADBの力を削ぐ行為を中国が仕掛けているのであれば、ADBを支持する立場からそれに反対するのは当たり前のことであり、参加しないように呼びかけるくらいは普通のことです。「圧力」という以上は、それ以上に何らかの脅しの類いを行ったという事情がなければなりませんが、具体的にどのようなことが行われていたのでしょうか。それが何も確認できないままに「圧力」という強い言葉を用いたとすれば、それは言葉の暴力でしょう。

 その後の展開もひどいものです。

 何が日本と米国の判断を誤まらせたのか。米国のアジア・ピボット戦略、オフショア・バランス戦略に基づいた「中国包囲網」構想の枠組みと、それに乗った日本外交の情勢判断の誤りではなかったか。この米国の構想のアジア現地版として、安倍首相は「地球儀を俯瞰する外交」と称し、本音では中国包囲網の構築を目指して、東南アジア、インドなどの南アジア、オーストラリアなどの大洋州などの諸国を忙しく飛び回って来たようである。しかし、外交的に孤立してしまったのは、日本と米国だった。そして、北朝鮮。

 アジアの中でジャイアンぶりを発揮する中国に対して、その力の強大さゆえになかなか単純には逆らうことのできないアジア諸国の諸事情を無視して、「中国包囲網」的な外交は失敗だと断定するわけです。これはつまりジャイアンとなった中国を容認し、そのジャイアンぶりにすり寄る姿勢こそが日本の取るべき姿だという価値観が表明されているような書きぶりでしょう。AIIBに参加しなかっただけで「外交的に孤立」だという。外交とは、基本的に異なった国益を持つ国と国が、時に対立しながら、時に融和しながら関係を構築していくものであり、たまたま一つの案件で異なった意見を表明したくらいで「外交的に孤立」という表現はありえないでしょう。

 以前の記事にも書きましたが、少なくとも現段階でAIIBに参加せよというのは無謀の極みでしょう。組織体制が決まっていません。従って、融資案件を決めるプロセスも決まっていません。一部の報道によると、理事会は常設とはせず、案件ごとにメールするだけにするという、信じられないようなことまで語られています。出資構成も決まっていません。

 麻生財務大臣は平成27年4月3日の記者会見で以下のように語っています。(一部を抜粋しています。)

 問題は、私がこれまでもずっと言っていることは同じで、1年半ぐらい前ですかね、これが始まって。大分前からこの話は来ていたと思いますけれども、私共はガバナンスをはっきりしてくれと。どういう基準で貸すのか、理事会の構成はどうするのだ、案件の審査は誰がするのだ、いつやるのだということを教えてくださいと。そういうことをしない限りは、我々はそれに対してガバナンスがしっかりしない限りはとてもではないけれどもそれに参加することはできない、それが1つ。ほかにもいろいろ言ってきましたけれども、同じようなことで、我々としてはインフラストラクチャーの投資によって環境にどういう影響を与えるかとか、いろいろなことを全部調べた上でADBも世界銀行もみんな同じルールでやっているのですから、それと同じルールでやられるのですかということを申し上げて、言い続けていますけれども、返事はまだもらったことは1回もありません。その返事が来ない間は我々としては、少なくともそれに参加するとなったら多額の税金を使うということになるでしょうし、その出資比率はGDPに合わせるとか、アジアの地域における何かに合わせるとか、多額のお金になりますから、私共はヨーロッパと違ってこの地域にいますので、その地域においての出資比率が大きなものになる、それはイコール税金ですから、そういった意味では確実なものでないものに多額のお金を出資するということは、我々としてはガバナンスがしっかりしていない限りはできない。ずっと同じことしか言っていません。
 バスに乗り遅れるなんていう話はよくマスコミがする話なのですけれども、どうして国益に反すると言われるのかという感じがします。例えばお金を投資して、いわゆる資本金なり何なりに参加するという額は巨額なお金になると思います。そのお金は国民の税金を預かってそれを海外に、インフラストラクチャーの援助としてやることになるが、その場合に、そのお金が保証されない限り、我々の税金の無駄遣いということになりますので、そういったようなことは十分に考えた上でやらないといけないということで、AIIBできちんと確保してくださいということなのが1つ。それからほかの国はどうか、それは第三国の話で、その第三国の動きについてコメントすることはありません。
 日本人が総裁をやっている、日本が非常に大きな影響力を持っているアジア開発銀行のお金で開発をやるという場合でも、それを融資がついたからといって日本の企業がどれくらいの仕事を受注できているかと。1%あるか。0.5%ぐらいだろう。0.5%ぐらいのものですよ。ましてや中国資本になってきた場合においては、その比率はもっと下がる。それによって日本というのは0.5%以下の話で、どれくらいのメリットがあるんですかね。私はデメリットというのは、大変だ大変だと言うけれども本当かねと、正直そう思いますし、製品とか、金融がサポートできないというからとれないというならまだ分かりますよ。しかし今そういったものに関しての金融サポートというのは、日本政府からも日本の市中銀行からもいろいろな形で融資やそういった支援というのはつきますから、特に日本がマイナスになるという意識はありませんね。


http://www.mof.go.jp/public_relations/conference/my20150403.htm

 日本がAIIBに参加しないことが問題だというのであれば、上記の麻生財務大臣の見解のどこに問題があるのかを明確にしてから言って頂きたいものです。そういう視点を一切持ちえず、印象とレトリックのみで日本の不参加をなじる記事の書き方は、客観性を重んじられるジャーナリズムの否定だと言っても過言ではありません。

 以上見てきたように、朝日新聞のこの記事は、まさに中国政府に書かされたかのような記事です。こんな新聞が未だに日本の言論界に大きな影響力を持っていることについて、改めて危機感を感じつつも、この無節操さに朝日新聞の終わりが見えてきたように感じました。


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