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安保法制に対して正確な報道をマスコミは行え!


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 今回の安保法制の改正について、世間では厳しい政府批判が蔓延し、内閣支持率が急低下しています。「戦争法案」だという見方が世間の空気になってきていますが、果たしてそんなに危険なものなのでしょうか。この点を法案の記述に基づいて具体的に見ていきます。(法案上の文言は私の自己責任で簡明な表現に書き換えているところもあることは、ご承知おき下さい。)

 今回の安保法制の改正が成立すると、自衛隊による在外邦人の保護のための活動が初めて可能になりますが、これに関しても3つの厳しい要件を定めています。それは①保護措置を行う場所において、当該国が現に公共の安全と秩序の維持に当たっており、かつ、戦闘行為が行われることがないと認められること、②自衛隊が当該保護措置を行うことについて、当該国の同意があること、③予想される危険に対応して当該保護措置を行うための部隊と当該国との間の連携及び協力が確保されると見込まれること、です。

 さて、これによってアルジェリアで起こった日揮の社員の人質事件のようなことが再び起こったとして、その救出活動を自衛隊ができるようになるのでしょうか。端的に言って否です。あの事件の場合、アルジェリア政府は自衛隊が邦人保護のための行動を展開することに恐らく反対はしなかったでしょうし、アルジェリアの警察や軍と日本の自衛隊が邦人救出のための連携・協力を行うことも確保できたことでしょう。ですので、②と③は条件を満たすでしょうが、テロリストが邦人を人質にとって立て篭り、アルジェリア政府軍との間で戦闘が行われておりましたので、①の「戦闘行為が行われることがないと認められる」には該当しないことになります。したがって、ああした場合の邦人救出は今回の法改正によってもできないことになります。

 つまり、外国政府が現地で発生したテロ行為に手を焼き、そのテロ行為に邦人が危機にさらされ、この状況に対して日本の自衛隊への治安活動への参加を求めているという状況であっても、日本の自衛隊は邦人救出のための作戦を行うことができず、邦人救出を外国の軍隊にお願いするより他ないことになります。そして、その際に「なぜ日本の自衛隊は作戦に参加しないのか」と言われた時に、「自衛隊員の生命を危険に晒すような活動は日本の国内法で禁じているので、戦闘行為が生じる可能性がある際の邦人救出活動を外国の軍隊に委ねるしかない」と答えざるをえません。これが国際社会においてどれほど身勝手な主張であるのか、現実に即して考えてみてもらいたいわけです。そしてこの程度のことすら、今回の安保法制の改正案によっても実現できないようになっているのが実際であるわけです。

 私は日本国民は本来そんな主張を支持するほど身勝手な民族ではないと思いますし、恐らく実際に邦人が現地のテロに巻き込まれて人質に取られたような場合に、自衛隊が現地の政府の要請に応えて救出作戦に参加することには反対を表明することもないでしょう。つまり、実際に生じた時には国民的に広い支持があると見込まれるようなレベルの邦人救出さえ、なおできない状況に変化はないのです。

 「米軍等の部隊の武器等の防御のための武器使用」は確かに認められましたが、これにも、「自衛隊と連携して我が国の防衛に資する活動に従事しているものの武器等に限る」との規定が入っています。つまりたとえ米軍であっても、我が国の防衛に資する活動に従事していない部隊の防御までは認められてはおらず、地球の裏側でアメリカが勝手に起こした戦争に日本の自衛隊が巻き込まれるといった批判はまったく当たらないのが実際です。

 国連の平和維持活動(PKO活動)については、従来よりもやや踏み込んだ武器使用を認める方向に舵を切り、駆けつけ警護(国連のPKO活動を現に展開している自衛隊が、同じPKO活動に従事している他国軍やNGO活動に参加している民間人が危険に晒された場合に、その危険が生じている場所に駆けつけて武器を使用して救出活動ができるようにすること)ができるようになるなどと大騒ぎされていますが、ここにも厳格な規制があります。つまり、紛争当事者が停戦の合意をしている上で、我が国のPKO活動への参加に同意しており、PKO活動が中立的立場を厳守している状態で、受け入れ同意が安定的に維持されていることが確認できる場合でないと、駆けつけ警護等における武器使用は認められないとしています。しかも国連総会などにおける決議があるか、国連の専門機関等が行う要請があるなどしないと、武器使用を認めていません。要するに、紛争当事者の両側と国連の支持がない限り、駆けつけ警護はできないという規定になっています。つまり、紛争の当事者のどちらか一方の側の味方をして他方に対する攻撃を行うことは、駆けつけ警護という名目があったとしても認められないわけです。しかも停戦合意が崩れたとみなされた段階では駆けつけ警護は認められません。つまり、もっとも駆けつけ警護が要請される場面では、やはり日本の自衛隊は活動に参加することができないという規定になっているわけです。

 そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある場合など、我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態 (重要影響事態(従来の「周辺事態」))においては、米軍などの後方支援ができるということが盛り込まれていますが、現に戦闘行為が行われている現場では実施できないばかりか、戦闘行為の発生が予測される場合には休止しなければならないと規定されています。防衛大臣は指定した実施区域における活動が安全に行えなさそうだという場合には、実施区域を変更するか、活動の中断を命じなければなりません。

 船舶検査活動を日本国外でも行えるようにするという変更もあり、その点では活動領域は大幅に拡充しましたが、しかし実際に船舶検査を行うにあたっては対象船が船籍登録している国の同意が必要であるとの規定が盛り込まれています。例えば北朝鮮の旗を掲げている船に対し核兵器関連のものの輸送を行っているのではないかとの疑いをかけたとしても、北朝鮮がその船の検査を承諾しなければ、その船の検査はできないということになります。つまり、国家の統制を外れて行動するテロ組織に対しては有効だとはいえるでしょうが、国家自体がテロ的な行為に加担している場合があっても、それに対しては何もできないというのが実際です。

 このように見た場合に、この法案の一体どこが戦争法案なのかと言わざるをえないでしょう。現在用意されている法案を素直に読めば、以上のようなものなのであって、これに「戦争法案」だと罵声を浴びせるのは単なるプロパガンダにすぎないわけです。

 安保法制については、冷静に事実ベースで議論をしたいものです。そしてこのような最も大切な部分について正確な報道を行わない日本の大手マスコミの腐った姿勢については、本気で怒りを覚えます。


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コメント

1. 無題

Facebookのイイネ!から参りました、ネコと申します。

わたしは基本的に左側の思想なのですが、右側の思想の方ともお話したいと思いコメントさせていただきます。
ご不快でしたら削除していただいてもかまいませんが、よろしければご意見いただけると幸いです。

海外でのテロや、日本人への組織的な暴力について言及されていると受けとりましたが、この法案群が、そもそも違憲である、という指摘に対してはどう思っていらっしゃるのでしょうか。
法案が納得できるものであるならば、国民に説明してまず憲法を改正する、というのがまっとうな道ではと思えます。
もちろん、海外で被害にあう国民を救う、というのは多くの人が望むことであるでしょう。
ただ、今回のやりかた(あえてやりかたのみについてご質問させていただきます)は、立憲国家として、正しいものであったのでしょうか?

わたしには、右側の思想の友人もたくさんいます。
日本が軍事力を持つことにも、集団的自衛権にも賛成の人もたくさんいるのですが、今回は
「やり方がまずい」
という人ばかりで、もろ手をあげて賛成、という方になかなか出会えません(ネトウヨならたくさん見るのですが…)

国民の理解を得ることなく、今期の審議だけで強行採決に踏みきる、しかも憲法を改正することもなく、という、このやりかたに対してはどう思われますか?

もしお手数でなければお考えをお聞かせいただければと思います。

2. Re:無題

>ネコさん
コメントありがとうございます。
まずこの件に関する問題は、左の人たちばかりでなく、この法案が必要だと訴えている右の人たちにしても、実は法案の中身をよく知らないまま、印象論に基づいて「違憲だ」「合憲だ」と騒いでいるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。マスコミの報道を見ていても法案の中身を正確に伝えることなど全くやっていないですよね。「安倍政権の説明不足」とよく言われますが、法案の客観的な中身についてマスコミが伝えていないことを「安倍政権の説明不足」にせいにするのは、そもそもフェアではないと感じます。
ですから、いわゆる右の方にしても、実は中身を知らないままに「さすがに憲法を改正しないで突っ走るのはまずいんじゃないか」みたいなことを言っている方たちばかりではないかと思うのです。
安倍政権は憲法との整合性の確保という点では非常に慎重で、それゆえにこれが成立しても、PKOに共同して参加している他国の軍隊との協調行動にも支障が生まれる状況に大きな変化はありません。つまり自分たちを相手に守ってもらう一方で、相手を自分たちも守る行動をするということさえ、今回の安保法制の改正が成立しても、実現できないわけです。
その程度のことが「侵略」だの「徴兵制」だのと絡められた上で当たり前のように議論される言論空間が正常なものかどうか、まずは落ち着いて考えてみてもらいたいのです。

3. Re:無題

>ネコさん
自衛隊合憲論というのは、憲法の前提は自国の存立なのであって、自国の存立を否定するような自衛権の否定まで行っていると考えるのは適切ではないとの立場から構築されているものです。この立場に立つ場合、日本の自衛隊が保持できる自衛体制がどのようなものとなるかは他国との相対的な関係の中で考えざるをえません。東アジア地域において日本の自衛隊が突出した自衛力を保持していた時代においては、自衛隊が海外に出て行かないという制約を課しておくことにも意味はあったでしょう。しかし、中国が大きく経済発展を遂げ、実質的には日本の自衛隊の5倍以上の国防予算を年間に注ぎ込み、この力を背景に国際ルールを次々と破って自国の権益の確保を平然と行うようになった状況下において、日本の自衛隊がこの圧迫に負けない程度(勝てる程度ではありません)まで防衛体制を整備することは、憲法違反にならないという立場は当然あると考えます。
日本国の存立と独立を保持するのに求められる最低限の自衛力と自衛体制の整備を日本国憲法が禁じているものではないという自衛隊合憲論の立場に立つならば、むしろそのような解釈の方が適切だということになるでしょう。
もっとも私は、戦争放棄を謳い、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」という9条を持ちながら、自衛隊を合憲だとする議論(つまり、自衛隊合憲論)にそもそも違和感を覚えますので、憲法自体の改正を行うべきだという立場に立っています。
しかしながら、事実ベースの報道を丁寧に正確に行わないマスコミが言論空間を支配するこの日本の状況下においては、憲法改正の議論を政府与党がまともに提起できない事情は考慮すべきです。
逆に左の方にお尋ねしたいのは、事実を丁寧に報道することのないマスコミが言論空間を支配し、それに基づいて国民の意識が形成されている現在の日本のあり方は、全体主義的で問題があるとは思われないでしょうか。
なお、私は右の立場との意識は自分の中にはないです。私ほどのマルクスの理解者は左の人の中にもなかなかいないのではないかと、個人的には思っています。

4. こんにちは

政府はマスコミを利用した政策説明をなそうという考えを排し、宛にしない対策を考えるべきだと思いますよ
まぁ難しいと思いますけど
なんだかインターネットがあるのに、説明不足って~って感がどうにも
いつもでも誰でも動画が見られたらなぁなんて思ったり(笑)
国民一世帯毎にお知らせメールみたいな配信して、クリックでポンと動画がーなんて仕組みにしたら税金かかるかー
なんかくだらないコメントすみません(笑)

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