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コメを守るのに、従来発想のやり方は現実にそぐわない


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 最近意外な事実を知りました。農協系の日本農業新聞の2015年7月17日号によりますと、日本が無税で輸入するミニマムアクセス米のうち、年間10万トンの主食用のSBS米については、昨年の輸入量が1万1600トンにしかならなかったことが記載されていました。

 SBS米とは商社などが買い入れたい銘柄を指定して、入札によって購入する分です。例えばカルフォルニア産のコシヒカリを無税で買いたいなどと商社に申し出てもらい、こうした申し出が合計で10万トンの上限を超えるようであれば、政府に払う手数料が高い方から順次落札させるようにして、10万トンまでは無税で輸入できるようにしているものです。「これは儲かる」と商社側が判断すれば、年間10万トンを上限に無税で輸入できるはずなのですが、昨年は1万1600トンにしかならなかったわけです。無税なのに枠全体の1割強の1万1600トンにとどまっているって、不思議ですよね。
http://www.agrinews.co.jp/modules/pico/index.php?content_id=33968

 この原因に関連して、日本農業新聞は「昨年は国産米の価格が下落したことで輸入米の価格メリットが薄れ」と記載しています。何気なく書いてありますが、これはコメの内外価格差がなくなっているということを意味するはずです。内外価格差がないために、わざわざ外国からコメを輸入しても、国内の良質のコメとは競争できないという判断を商社は下したということでしょう。

 1ドル120円で計算してみましたら、カルフォルニア産コシヒカリは60キロあたり11000円程度(日本までの輸送料込み)です。ちなみに国産米が60キロあたり12000円程度ですので、こうなると確かに内外価格差はほぼないと言ってよいかと思います。

 報道によれば、TPPによりコメは従来のミニマムアクセス米と別枠で米国に7万トン、オーストラリアに8400トンのSBS米の輸入枠を設定するとしています。国会決議に縛られていたので仕方がないところもありますが、これならば現在1キロ341円(60キロあたり20460円)という関税を大幅に引き下げて、例えば半額にする代わりに、ミニマムアクセス米を廃止するという選択肢の方がよかったでしょう。半額にしたところで60キロあたり10320円の関税ですから、事実上日本国内へのコメの輸入はできないからです。1/4にしたところで外国のお米が日本の国内に入ってくることは極めて難しいでしょう。内外価格差が3倍とか4倍とかある場合とほとんどない場合では、どのような農業保護策がよいのかという中身は当然変わってくるはずで、私もこのあたりの知識を十分持っていなかったことを、今更ながら反省しています。


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