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危険! 人民元のSDR構成通貨入りをIMFは後押ししている!


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 人民元のSDR構成通貨入りに関しては11月に開く理事会で最終的に判断するということになっていますが、どうもこれを認める方向にIMFは傾いていると考えざるをえない事態が進行しています。

 10月9日に開かれたIMFの国際通貨金融委員会において、中国の国家統計局は本年の上四半期の中国のGDP成長率に対して、ともに7.0%を達成したと主張しました。そして、今月19日(2015年10月19日)に発表予定の第三四半期のGDP成長率についても、少し下がるかもしれないが、概ねこの水準を維持すると述べています。つまり、中国経済は昨年と比較してもほとんど減速していないとの判断を述べたということになります。これだけでも驚きですが、なんとIMF自身が中国の本年の経済成長率を6.8%、来年(2016年)についても6.3%との従来予測を変更しなかったのです。

 中国の輸入数量は対前年同月比で15%程度のマイナスが続いていますが、輸入が大幅に減少している中で国内の経済が相変わらず7%を維持しているというのはありえないでしょう。ちなみに輸出も対前年同月比で6%程度のマイナスが続いています。それなのに、経済成長率は相変わらず7%を維持しているというのが中国およびIMFの見立てだというのです。

 中国の奇妙な説明には続きがあります。中国のGDPに占める個人消費の割合は、今年の上半期は昨年より5.7%上昇して60.0%になったのだというのです。これを認めると、中国のGDPに占める個人消費の割合は2012年あたりから急上昇して、35%ほどだったのがついに今年は60%になったということになります。これはここ数年不況が深刻化するにつれてなぜか個人消費だけがどんどん伸びて2倍以上になったということになります。そして個人消費の急激な伸びがあるにも関わらず輸入数量が激減しているという、とても興味深い展開をしていることになります。どれだけ奇妙な議論を中国やIMFが行っているか、口をあんぐりせざるをえないでしょう。

 皆さんもよくご存知の通り、人民元は中国人民銀行の管理下にあって、その価格が市場原理によって決まる通貨ではありません。国境をまたぐ資本勘定の自由化が進んでいないどころか、これについては大幅に後退しているといえるでしょう。市中銀行が人民元を外貨に変える為替予約を締結する場合に、銀行は取引残高の20%をドル建てで中国人民銀行に預けないといけないとする規制を導入しました。要するに、外貨を購入して人民元を売るという動きを著しくとりにくくしたというわけです。クレジットカード(正確にはデビットカード)である銀聯カードを使っての海外での商品購入についても、1日につき1万元(約20万円)の引き出し上限額が設定され、今年は10月1日から12月31日までに引き出せる総額を5万元(約100万円)に、来年以降は1年間に引き出せる総額を10万元(約200万円)に制限するとしています。庶民の買い物には影響は軽微でしょうが、最富裕層に対する影響は極めて甚大でしょう。これは中国人民銀行の持つはずの外貨準備が実は流動資産としてはあまり保有されておらず、流動性のある外貨が尽きる心配を中国政府がせざるをえなくなっていることを如実に表していると考えるべきです。つまり、実質的には外貨準備は枯渇に近づいていると考えるのが適切だということです。

 本年(2015年)7月の上海株暴落に際して、空売りを行った人を「不正な相場操縦を行った」との容疑で逮捕するという事態も発生しています。暴落に慌てて投げ売りした人にまで捜査が及んでいるという、信じられない話も出ています。このような事態を放任した上で人民元のSDR構成通貨入りを認めた場合、SDR構成通貨入り後も同様の事態が発生しうる、つまり中国当局が自分の都合に応じてある日突然資本移動を認めないという処置を取りうることを認めることになる可能性もあるということになります。そのような通貨を準備通貨とすることは甚だ危険が高いということであるのに、IMFはこれにお墨付きを与えるかのような動きを見せていることになります。

 人民元のSDR通貨入りについては、欧州勢が賛成に回っており、日米の反対にも関わらず議決権の70%以上の賛成を得て可決される見込みとなっています。採用は最短でも来年(2016年)10月以降とされていますが、これを決めてよいのかどうかについて、欧州勢はまじめに考えるべきではないでしょうか。

 もっとも、アメリカのルー財務長官は中国に対して「市場原理に基づく改革」を要求しています。あまりに不透明でいびつな規制を撤廃しないと人民元のSDR通貨入りを認めないということなのですが、本年11月から今後1年間にそこまでの自由化を行えば、人民元の暴落は避けられないでしょう。また、一方でルー財務長官は先日の習近平との会談において人民元の安値誘導を認めないと釘を刺しました。両立しない2つの要求を突きつけることで、アメリカは中国を追い詰める方針を採用していると思われます。欧州勢が中国になびく政策を採用するのを黙認しつつ、結果として中国を徹底的に追い詰める戦略ではないかとも見えます。

 ただ、その結果は世界経済のハードランディングにつながるものであり、私としては歓迎できるものではありません。IMFが良識に基づいて人民元のSDR構成通貨入りを認めない結論に至ることを願っておりますが、どうもその道はなさそうだというのが現在の流れだと思われます。


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 なお、この記事は以下の記事を大いに参考にさせていただきました。
http://www.forbes.com/sites/gordonchang/2015/10/11/warning-the-imfs-not-worried-about-china/



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