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EU付加価値税改革は消費税の行方にも大きな影響を与える!



 消費税の再増税が2年半延期となりましたが、再増税が再び議論になるはずの頃には消費税をめぐる議論の環境が激変している可能性もかなりあるのではないかと思っています。

 皆さんもよくご存知の通り、ヨーロッパ諸国においては日本の消費税に当たる付加価値税が導入され、一般に日本の消費税よりも高い税率が適応されています。この付加価値税の本当の狙いの中には、輸出企業の支援というものもあります。

 下請け企業が部品を作って親企業に納品した場合、法律上の建前としては、下請け企業が自らの生産活動で付けた付加価値分を納入価格に転嫁して親企業に引き渡しを行っていることになっています。親企業が輸出を行う場合、その価格にはすでに国内の付加価値税の支払いが入っていることになりますが、輸出先は国外であるために、国内消費を前提とする付加価値税を負担する必要がありません。その結果、下請けが負担してきた付加価値税相当分を親企業は国から戻してもらえるということになります。日本の消費税もこの点での仕組みは変わらず、例えばトヨタは年間3000億円にものぼる金額をこの消費税の還付で受け取っています。日本の輸出系の大企業が消費税増税に熱心であるのは、増税すればするほど還付金の額が大きくなる、つまり彼らにとってのメリットが大きいという背景がかなり大きく作用しているといえるでしょう。

 ところがこの還付制度が付加価値税をめぐる不正の大きな温床にもなっています。輸入業者は付加価値税率ゼロで、つまり普通に付加価値税が積み上がっている国内品よりも割安で輸入品を手にしながら、国内販売を行うと同時に雲隠れしてしまうといったことが頻発しているのです。国をまたいだ商品流通ゆえに国内捜査のみに頼った捜査では限界があり、抜本的な制度変更が必要だと言われてきました。ちなみにEU全体で本来取れるはずの付加価値税額と実際の徴収額との差額は日本円換算で年間20兆円ほどあり、そのうち国境をまたぐ取引に関わるものは6兆円ほどを占めるとされています。

 それで欧州域内の輸出入についてはという制限はつきますが、この制度を大胆に改革しようという動きが出てきました。輸出企業に還付する制度を廃止して、輸出企業にもそのまま付加価値税を支払ってもらって輸出を行ってもらおうというわけです。この制度だと輸入国側に本来入るべき付加価値税のかなりの部分が輸出国側に払われることになりますが、こうした計算は各国の財務当局同士で行い、過不足の調整を行えばよいではないかという話になってきています。これであれば税務当局として税金の取りはぐれは生じないことになります。

 EUは現在進めている付加価値税改革によって、徴税漏れの8割程度の穴を防ぐことができると見なしています。そしてその成果を背景に付加価値税の税率を引き下げる方向性を打ち出しています。同時にEUは軽減税率を縮小・廃止して付加価値税制を簡素化する方向性も打ち出しています。これが大きな成果を上げたとすれば、付加価値税・消費税に関してはEU型の税制を目指すべきだという国際的な流れが生まれる可能性は高いでしょう。仮にそうなると、輸出大企業が消費税増税を求める意味合いは急激に薄れ、消費税についての議論の環境が大いに変容することが想定できます。

 こういう点でEUが行おうとしている付加価値税改革の行方に注目していきたいと思います。


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