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もんじゅの再稼働の判断には、前提知識の整理が不可欠だ



 トラブル続きの高速増殖炉もんじゅの再稼働問題が揺れています。福島第一原発での原子力事故を受けて原子力規制基準が非情に厳しくなったことを受けて、再稼働を行うには4000億円から5000億円にも及ぶ追加費用がかかるということが指摘されています。

 トラブル続きの高速増殖炉にどうしてここまでこだわるのかという向きもあるかと思いますが、高速増殖炉には様々なメリットがあります。

 軽水炉などで利用される、核分裂を起こしやすいウラン235は、天然に存在するウランのうち0.7%程度しか存在しません。残りの99.3%は軽水炉などではほとんど核分裂を起こさないウラン238ですが、高速増殖炉を利用するとこのウラン238を燃料として利用しながら、かつこれをプルトニウムに転換することができ、生み出されたプルトニウムもまた原子力発電の燃料とすることができます。つまり、エネルギーを生み出しながら、さらに大きなエネルギー源を手に入れることができるわけです。

 また、核分裂を通して中性子を吸収しやすく放出しにくいアメリシウム241といった物質が増えると、原子核分裂反応が進まなくなってしまうわけですが、高速増殖炉はこれらを分裂させることができるのも大きなメリットだと言えるでしょう。

 さらに、冷却材として用いる金属ナトリウムは沸点が高く、高圧にすることなく利用可能です。この結果として冷却材が沸騰して蒸発してしまうような事故が起こる可能性はほぼないと言ってよく、非常用炉心冷却装置の類も必要ないというメリットもあります。

 但し、反応性の高いナトリウムの漏れがあると大きな事故につながるため、絶対にナトリウム漏れが起きない仕組みを構築しなければならないわけですが、これが技術的に極めて難しいわけです。もんじゅのトラブルの多くもこのナトリウム漏れに起因するものです。

 私のもんじゅに対する態度は、専門家ではないこともあって、単純ではないです。

 まず、原子力発電の技術進歩が高く、高速増殖炉に代わるような原子力発電技術も開発されつつあることに注目したいです。例えば進行波炉というのは高速増殖炉の応用形のような原子炉ですが、燃料交換なしで最長100年間の運転が可能だとされています。この原子炉につながる4Sという原子炉を東芝が開発していて、これはすでに実用炉の建設もできるレベルに達しています。

 これとは別に、高温ガス炉という極めて安全性の高い原子炉も開発されています。この原子炉は冷却材であるヘリウムの流れが止まったとしても自然に炉が停止することが実証実験で確かめられ、実用炉の建設に踏み切れる段階に達しているとも言われています。

 これら以外にもトリウム溶融塩炉、超臨界圧軽水冷却炉といった有望な原子力発電技術がいろいろと出てきている中で、技術的ハードルがとりわけ高い高速増殖炉にこだわる必要はないのではないかという思いがあります。むしろ安全性が極めて高く、冷却水の必要もないために立地の制約も小さい高温ガス炉のような原子力発電を政府が「これからの原子力発電」として大々的に宣伝し、原子力アレルギーを払拭するエネルギー政策を展開することが国家の将来にとって重要ではないかとの思いもあります。すなわち、そうした流れの中では足を引っ張る役割を果たすもんじゅの運転再開にこだわらないほうが、政治的にはわかりやすいし、国民に受け入れられやすいのではないかということです。

 その一方で、日本は2025年あたりをめどにフランスで新しく開発される高速増殖炉のアストリッドに技術協力することを決めており、もんじゅの再稼働によって高速増殖炉に関するノウハウを途切れないように維持・強化することが求められている側面もあるかと思います。高速増殖炉の安全な実用化ができれば、その恩恵は非常に大きいことは見過ごすべきではありません。そして、高速増殖炉の高いノウハウを蓄積してきているのは、日本・フランス・ロシアにほぼ限られており、この中での競争から抜けだして日本が技術的にトップを取ることができれば、そのメリットは非常に大きいとも言えるわけです。

 もんじゅの将来について考えるならば、このあたりの議論を十分に踏まえた上で検討してもらいたいものだと思っています。

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技術は突破する

日本でかつて起きた石油ショック、その時に当時の自然エネルギー庁が総力を結集した、サンシャイン・ムーンライト計画ことごとく失敗しましたが、残ったのは、核燃料サイクル、危険だが人は電気無しでは生きられない。

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