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EU崩壊が見えてきたモンテ・パスキ問題



 金融機関が破綻した際に、税金を投入するなどして安易に国家などによる救済を図るのはよくないとの批判が高まったことから、最近は「ベイルイン」ということがよく言われるようになりました。「ベイルイン」というのは、破綻した金融機関の株主とか預金者とかに泣いてもらって金融機関の救済を図るというものです。金融機関の利害関係者=内側にいる人たちの負担で救済を図ることから、「ベイルイン」というわけです。なお、これに対して国家などの外部の負担によって救済を図ることを「ベイルアウト」と言います。

 イタリアのモンテ・ デイ・パスキ・ディ・シエナ銀行(略称:モンテ・パスキ)は1472年創業で、現存する中では世界最古の銀行と言われている由緒ある銀行ですが、この銀行が破綻の危機に瀕しています。モンテ・パスキの不良債権比率は4割以上と言われ、通常のやり方では救済できません。そこでまずはベイルインで利害関係者に泣いてもらおうということになるわけですが、これをまじめに行うとなるとイタリアにおいては取り付け騒ぎや過剰な貸し剥がしなどが起きて、イタリアに絶大なダメージを与える可能性が高いわけです。

 そこでイタリア政府はEUのルールを破った形でのモンテ・パスキの救済に乗り出す方針を固めました。幾分ややこしいのですが、具体的には、小口債権者を救済するために、小口債権者の債券を現在の株価の株に置き換えるように促した上でこれを国家が同価格で買い取るという方針を示しました。わかりにくいと思いますが、元本が保証されているはずの債券を場合によっては紙くずになりかねない株式に転換させることでベイルインを行ったという建前にしながらも、その株式を同じ値段で国家が買い取ることで実質的にはベイルアウトで処理するという方法にしたわけです。(実際にはもう少し複雑なのですが、大筋ではこういう感じで捉えればよいかと思います。)

 当然ながら、この手法はベイルインの顔をしながらも実質的には完全なベイルアウトだということで、多方面から非難されています。しかもEU統合の理念からすれば、EU全体として対処するならばまだわかるわけですが、イタリア1国での対応というのは望ましいこととはされないわけです。ではEU全体で救済してくれるのかといえば、ほぼイタリアしか関係ないことに他のEU諸国が賛同して負担を分担してくれるはずなどないわけです。

 イタリア政府が事態を見過ごして混乱が生じた場合には、来年2月にも行われると予想されるイタリアの総選挙で反EUを掲げる野党の五つ星運動が勝利する可能性がさらに高まり、イタリアのEU離脱の公算が現実化してきます。この道もEU側としてはできる限り避けたいところでしょう。つまり、理念通りにEUを運営することは現実的には不可能であることはもはやはっきりしていて、それでもだましだましで現状の路線を続けようとするのか、それともEUの崩壊もやむなしとする路線を取るのかの2択になっていることがわかりやすく見えてきたように思います。

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