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トランプ大統領の過度の親日姿勢に警戒せよ



 訪米中の安倍総理に対するトランプ大統領の歓待ぶりは、格別に温かいものでした。尖閣諸島が日米安全保障条約第5条の適用対象であることは、これまでもオバマ前大統領がたびたび明言してきましたが、今回はこれを共同声明として初めて文書化しました。日本が米軍の駐留を受け入れてくれていることに感謝するとまで述べ、選挙戦中の日本非難とは全く異なったトーンで今回の会談を迎えました。日本の金融緩和を円安誘導だと非難することもありませんでしたし、懸念された貿易問題についても一切論及がありませんでした。その上で100%日本を支持するとまで述べました。

 ここまでべったりの親日だと却って気持ち悪いのですが、実際この気持ち悪さを際立たせる別のニュースもありました。それはトランプ大統領が中国の習近平国家主席との電話会談において、中国と台湾がともに一つの中国に属するという「1つの中国」政策の維持で合意したというニュースです。しかもこの電話会談は終始和やかに行われ、相互に訪問を約束しあったとも伝えられています。さらには、このような重要な話について、極めて強い利害を持つ日本政府に対して事前の説明はどうやらなかったようです。「100%日本を支持する」と述べたトランプ大統領が一方でこのような融和的な対中姿勢を示したこととの落差を、私たちは実に気持ちの悪いものとして正確に認識する必要があるのではないかと考えます。

 トランプ大統領はなぜこのような気持ち悪い対応を見せるのでしょうか。その真意は現時点ではまだ測りかねますが、米中対決のアメリカの代理を日本にやらせようとしているというのも考えられるシナリオではないかと思います。即ち、アメリカの覇権を脅かしつつある中国を、直接自分で叩いて消耗することを避け、代わりに前線に日本を置いて日本に叩かせる立場に回りながら、成果だけは手にしようとしているのではないか、ということです。

 このシナリオが当たっているかどうかはまだわかりませんが、トランプ政権がこのシナリオを描いている可能性を我々は注意しておくべきだと考えます。仮にそうだとした場合に、日本のマスコミにも強い影響力を持つアメリカが、憲法改正に向けての日本の世論づくりに強い影響力を行使してくる可能性も高く、こうした環境の中では、対中強硬論に流されやすい雰囲気が生み出される恐れも強いでしょう。アメリカの100%の支持というお墨付きを得たからといって、対中政策で安易に強硬姿勢に転じるような真似は慎まなければ、アメリカの代理戦争を戦わされる羽目になるかもしれないとの懸念を、我々は持っておくべきだと思います。

 一方、トランプ政権の現在の姿勢は日本の対米自立に向かえるチャンスになるかもしれません。国産ステルス戦闘機の開発を推進するなどの、独自の防衛力の整備に力を注ぐことが用意になるでしょうし、食料自給率の向上策に手を打ったりとか、日本近海でのメタンハイドレートなどの独自のエネルギー・資源開発も考えたいところです。

 トランプ政権の対日姿勢を歓迎し、それを日本の自立にうまくつなげつつも、決してトランプ政権の術策にはまらない警戒心を持ち続けるべきではないかと、私は考えます。

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コメント

No title

こんな記事もありました。
北野 幸伯 ロシア政治経済ジャーナル
http://archives.mag2.com/0000012950/20170213000000000.html
トランプ、「一つの中国」を認める

Re: No title

yoshiさん、ありがとうございます!
北野さんも同じような見解であることは頼もしいですね。
私はもう一つの可能性として、北朝鮮攻撃の本格準備に入り、中国の協力が必要になったためかもしれないとも思っています。
いずれにせよ、日本の安全保障上重大な話ですね。
まだ私が気づいていない他の意図もあるかもしれませんが、とにかくトランプ政権の今回の姿勢を素直に喜ぶのはちょっとおっかないなと思っています。

No title

僕は最近こんな本を読みました

米中もし戦わば
https://www.amazon.co.jp/gp/product/4163905677/ref=oh_aui_detailpage_o07_s00?ie=UTF8&psc=1

対中国は経済戦で消耗させるのが最善手のようです

Re: No title

トランプ政権の国家通商会議代表になったピーター・ナバロ教授の本ですね。
私はまだこちらは読んでおらず、Death by Chinaという別の著書を先日購入したばかりのところです。
中国に対する正常な警戒心を持っておられる方のようで、こういう方が政権中枢にいてくれることは日本にとって頼もしいですね。
反中国では安倍総理はトランプ大統領と共闘できる立場にあると言ってよいでしょうが、どう戦うかでは立場は異ならざるをえないので、この点では警戒心を持つべきではないかなと思います。
実際、同じ反中国の立場であるはずのベトナムにしても、トランプ政権誕生後には敢えて中国に擦り寄る姿勢を見せていて、対中国戦の前線にされないように戦略的に動いているように感じています。

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