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香港デモはどう動いていくのか


 
 香港でおこった大規模デモについて、簡単にまとめてみたい。
 
 2014年に起きた雨傘革命(催涙弾から防御するために、みんなが雨傘を持って対抗したことから名付けられた。選挙制度の変更に反対。)が完全に敗北したことによって、香港の民主化運動は無力感から下火になっていた。今回の香港のデモは香港で捕まった容疑者を中国本土に移送できるようにするというもので、これができると香港で活動している民主化運動のメンバーをテキトーな容疑で逮捕しておいて、中国本土に移送して取り調べができるようになる。香港で暮らすということは、いつどんな理由でしょっぴかれるかわからないという恐怖と隣り合わせにならざるをえなくなるわけで、香港の民主主義が根底から覆ることになる、大きな問題なのである。

 しかもこれを先取りするような事件はすでにいくつか起こっている。その中では、反体制的な書物を取り扱っている銅鑼湾書店(香港にある書店)の関係者が相次いで拘禁されて中国本土に送られるという事件がもっとも有名だ。銅鑼湾書店の店長だった林栄基氏は、もはや香港では暮らしていけないと、台湾に亡命した。

 今回大規模デモが盛り上がったのは、アメリカの対中強硬姿勢に力を得ているところが大きい。トランプ政権は中国の人権状況を手厳しく批判する立場に転化した。日本ではほとんど報道されていないが、トランプ政権は中国の人権状況について全面的で容赦ない批判を繰り返している。ウイグル人が百万人単位で強制収容所にいれられていることまで明らかにしたのは、トランプ政権がアメリカの歴代政権でもはじめてのことだったと思う。

 また、香港市民の危機感もこれまでとは大きく違っているとも考える。というのは、この法改正が認められてしまうと、香港での自由な活動がこれまでとは比較にならないレベルで制限を受けることにになってしまうため、香港で商売をすること自体の旨味が大きく低下してしまうからだ。中国共産党の言いなりになっても商売に影響なければ黙認してもいいと思う人たちは多いだろうが、それが自分たちの経済基盤に大きな打撃を与えることになるとすれば、そのことには反対の立場に回るだろう。実際、アメリカは「米国・香港政策法」によって香港は中国本土とは違って完全な自治のある別の地域として認定し、今回の米中対立の中でも対中報復関税の対象外にしてきたが、こうした処置がなくなる可能性も高い。

 今回のデモに対しては、中国政府は対応に苦慮していると思われる。現在5Gの覇権を巡って米中が激しく対立している。そしてこの中でヨーロッパがファーウェイの基地局を認めるかどうかがひとつのポイントとなっている。中国が香港のデモを30年前の天安門事件(民主化を求めて天安門広場に集まった学生たちを3万人ほど虐殺したとされる事件)のように強権的に弾圧したとしたら、ヨーロッパが中国離れを引き起こすのは必然だ。

 だが、これを放置すると民主化勢力を勢いづかせてしまうということになり、これまた中国政府には困ったことになる。ましてや民主化勢力に妥協して、今回の引き渡し条例を撤回するようなことをすれば、民主化運動の勢いを強めてしまうことになるので、これをやるわけにには当然いかないだろう。なので当面は中国政府は、催涙スプレーなどの部分使用は行っても、全面的な弾圧はなるべく避けようとするとは思われる。とはいえ、立法化についてはおそらくは来月には予定通りに強引に推し進めるだろうから、対立は激化するのは必然だ。

 今回のデモにはアメリカ政府も間接的には関与していると考えるべきで、そうした支援を受けて香港の自立を主張するような過激な方向に動く可能性もある。こうなると中国は強権行使に踏み切ることも選択肢に入れざるをえなくなる。

 こうした動きに、中国の他のひどい人権状況とを組み合わせた政治宣伝をアメリカ側は仕掛け、中国の孤立化を狙っていくと思われる。この結果として、世界的なサプライチェーンから中国を切り離していく動きを加速化させる意図を持っているのは、ほぼ確実だろう。

 日本企業も米中対立の構図を正しく理解して、どっちつかずは許されないということをそろそろ悟るべきときではないかと思う。

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コメント

分かりやすい

国際情勢って複雑で何が起こっているのか分かりにくかったんですが、朝香さんの解説はとても分かりやすいです。ありがとうござます。

Re: 分かりやすい

湯山さん、分かりやすいという評価が一番嬉しいです❣
ありがとうございます🌟

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朝香豊AY

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