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自由化・国際化は絶対善ではない!


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 現在粗鋼生産量世界ナンバーワンの企業はどこであるか知っていますか。アルセロール・ミタルというヨーロッパに拠点を置く企業です。年間粗鋼生産量は1億トンほどあり、日本を代表する新日鐵住金のざっと2倍の規模を誇ります。ずいぶん大きい会社なんだということがわかると思います。

 この会社は本当に多国籍企業で、ヨーロッパに拠点を置く企業でありながら、インド人のミタル氏が次々と世界各国の鉄鋼メーカーを買収して、ここまで大きな企業グループにしたものです。こうした経緯を辿ってきたため、多額の買収費用が負債となって残っており、不況下で売り上げも価格も低迷する中で、経営は厳しくなっています。実際、格付け会社のムーディーズとスタンダード&プアーズのどちらの会社からも、投資不適格の投機的等級(ジャンク級)に引き下げられ、新たな借金すら難しくなってきたわけです。こうした事情もあって、先月、フランス北部にある溶鉱炉2基を閉鎖すると発表しました。

 これに対してフランスのモントブール生産力再建相は、昨日(11月27日)、「フランスはもはやミタルを望まない」と発言し、閉鎖予定の製鉄所を一時国有化する意向を示しました。2006年にミタル氏がアルセロールを買収した時に、雇用や投資を減らさないと約束したはずなのに、約束を守っていないとモントブール氏は批判しているのです。

 ミタル氏の立場からすれば、こんなに激しい不況の中にあっては、効率の良い工場に生産を集約していくのは当然だということになります。それぞれの国の事情なんてかまっている余裕なんてないとの思いはあるでしょう。

 一方、フランスからすれば、フランスにある製鉄所の閉鎖を許せば、国内の雇用が失われる上に、国内の製鉄業が大きく減退することになります。製鉄業は国の基幹的な産業の1つですから、製鉄業の大きな衰退は看過できないということになるのでしょう。

 自由化・国際化というものは世界の流れであり、当然我が国も受け入れるべきであるという立場の人は、多国籍企業が日本国内に投資してくれることばかりを考えているのではないかと思います。ところが、日本に投資してきた多国籍企業が、事情が変われば日本から資本を引き上げていくことも当然ありうるわけです。ところがこのような外的な環境の変化に国家が左右される度合いを高めてしまう側面があることを、恐らくこういう人たちは考えていないのではないかと思います。ミタル氏とフランス政府の対立は、この問題を考えるのに非常にわかりやすい例を提供してくれたと思います。

 一般に国家というものは、現実の世界の中で存立しているものであり、市場原理を国家よりも大切なものとして置いているわけではありません。フランスがそうだというだけではありません。自由をどこよりも尊ぶとされるアメリカにおいても、GMやフォードを自由競争下で潰れるに任せるということはせず、アメリカ政府はこれらの企業を助けました。

 自由化・国際化が全面的に間違っているというわけではもちろんないのですが、こうした考え方を絶対化し、自由化・国際化の持つ負の側面に目をつぶるというのは、適切な対応とはいえないのではないかと思います。

 自由化・国際化を絶対的な善であるかのように考えるのをやめ、それが持つリスクについてもやはり考えるべきだと思われる方は、クリックをお願い致します。


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